剣城と茜





「どうして私、剣城君のこと好きなんだろうね」
先輩はそう言って俺の爪先から頭のてっぺんまで眺めた。
「さぁ・・・」

つ、と目をそらしてため息をついた。この人と話していると調子がくるう。どうすればいいのか分からなくなる。かといって無視するわけにはいかない。どうしてか分からないけどこの人のことはなぜか無視しようと思っても無視はできなかった。

「好きだよ、剣城くん」
「神童キャプテンよりも?」
「神サマは神サマ。剣城くんは剣城くん」

それじゃあ嫌ですよ。俺のことを一番好きでいてくれないと。そのことを言っても先輩はなかなか聞く耳を持たない。
神サマも剣城くんも同じくらい好きだからどっちも選べない、と彼女は悩んでいた。

「もういいです、俺ここから一人で帰ります」
「えー待ってよ、剣城くん」
「じゃあ言ってくださいよ。俺のほうが好きだって」

だから決められないって言ったじゃない、と困ったように彼女は俺をみた。
だめですよ、そんな目をしても。

「そう言ってくれないならもうキスしませんよ」
「つ、剣城くんのほうがすき・・・、」
「じゃあ帰りましょうか」

俺は先輩の手をとった。年上の癖に小ぶりな手だった。
「どうして先輩のこと好きなんでしょうかね」
俺は自分より背の低い、天然でマイペースで、そして可愛い先輩を見て思った。




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