吹雪と冬花





本当は前々から会おうと決めていたんだけどどうしても決断できなくて、今、偶然会った、というシナリオしかできなかった。
冬花さんの家の近くでうろちょろして急に来るのはまずいよな、またあとで来ようか、などと悩んでいるうちに冬花さんが帰ってきて僕に話しかけた。
僕はあははと笑って東京の町を散策していたんだ、と得意の作り笑顔と嘘を言った。

「せっかくだし、私の家で休んでいかない?」
「あぁそれはいいね。是非とも」

心からそう思う。こんなにうまくいくなんて思ってもみなかったからね。僕は念願の冬花さんの家にきている。
冬花さんは手慣れているのか紅茶をスムーズにいれて僕に出してくれた。渋味があまりなくて飲みやすかった。
家の中を少しだけ見渡すと几帳面に片付けられているのが分かる。家事ができる女性っていうのは本当にすばらしいもんだね。
でも、綺麗で気遣いができていて家事もできるこの女の子を放っておく男共はいないだろう。

「急に聞いちゃうけど冬花さんって付き合っている人とかいるの?」
「それが・・・」
「え?あ、なんかごめんね」

冬花さんは別にいいよ、と言った。
いやまさか付き合っている人がいないなんて驚きだ。東京の男の人たちは何をしているんだ、と腹をたてたが同時に感謝もした。

「付き合っている人がいないなら、僕と付き合おうよ」
「え?」
「僕、冬花さんのことが好きだったんだよ」
「ちょっとまって」

冬花さんは顔を隠して下を向いていた。でも耳がとても赤くなっているのが分かる。
僕は一歩近づいて冬花さんの肩をつかで、僕じゃダメかな、と聞くと、ダメじゃないけどちょっと待って、と小声で返事がきた。
・・・・・・やべーすっげーかわいい。




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