鬼道と夏未

※鬼道さんが雷門コーチ就任前という設定
※ダーク設定



「あら」
夏未の目線の先には机にひじをつき拳を顔に当てて眠っている鬼道の姿があった。なぜ寝ているのか分かったのかというとさっきから夏未が鬼道の名前を数回呼んだのだが反応がないためだ。

珍しい、と思い夏未は彼が本当に寝ているのかを確かめた。鬼道の目は大きめのサングラスによって隠されている。それをとれば目を閉じているか、そして起きているのか寝ているのかが分かる。
ゆっくりと起こさないように慎重にサングラスに手をかける。そしてそれを取ると鬼道の目はしっかりと閉じていることが分かる。

夏未は鬼道のサングラスを見つめて思うことがあった。これを通して見えるものはなんなんだろう、司令塔として時には監督としてそして時には兄として。
髪の毛を巻き込まないよう器用にサングラスをかけてその世界を知ろうとする。でも、分からなかった。いつも見ているものが少し緑がかって見えるだけ。なにしてるんだろ、自分に呆れながら夏未はそう思った。

「ん、」
短くきこえたそれは鬼道の声だった。まぶたを開けてゆっくり立ち上がり首を左右に揺らす。ポキポキと音がすると同時に手のひらで目のあたりを触る。
サングラスがない、鬼道は心のなかでそう焦っているように見える。そんなことは珍しかったから夏未にとって新鮮に思えた。

周りをキョロキョロとして探すと鬼道はサングラスをつけている夏未に目が止まった。夏未はふふと軽く笑う。
「フ、似合わないな」鬼道もからかうように笑う。
「あらそう?でも、鬼道くんも似合ってないわ。ハンサムなのに勿体ない」
サングラスを鬼道に返すと、すぐにかけ直した。

「顔、赤いわよ?熱でもあるんじゃない?」
「そうかもな」
鬼道は短くそう言った。




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