吹雪と春奈
ゆっくりと体を起こそうとすると何かが覆い被さっているようで春奈はなかなか体を起こすことができなかった。閉じているまぶたを開けると目の前には人がいた。
「ふぶきさん・・・」
「あ、おはよ」
にこ、吹雪は微笑んだ。
ああそうだ、と妙に芝居がかったように言う。
「春奈さんって僕のこと好き?」
「・・・・・・好きですよ」朝からこんなことを言わなきゃいけないなんて、と春奈は頭を抱えた。第一好きじゃなかったら一緒の部屋で寝たりなんかしない。
「好きならちゅうしようよ」
「・・・吹雪さん、寝ぼけてます?て、いうか、はやく退いてくれないと私、起きれないんですけど」
「ちゅうしたら退いてあげる」
まだお酒が回っているのかしら、春奈は呆れながらもゆっくりと瞳を閉じた。