土門と秋

「え?これ俺に?」
「うん」
「マジ?嬉しいなぁ!」

秋から貰ったチョコレート。
そうか今日はバレンタインデーか
日本のは面白いと思うよ、女の子から男の子にチョコをあげるってのは。


「あいつにはやった?」
「あいつ?」
「一之瀬くんのことでーす」
「うん、あげたわよ」

やっぱり一之瀬にはやってたか。
当たり前だよな

「あいつ、多分そーとー嬉しがってそう」

秋が一之瀬にどんなチョコをあげたのかは分からなかったけど、だいたいの見当はついている。
きっと俺のチョコの二倍くらいの大きさで、ハートマークで真ん中に好きってかいてるんだろう。


俺は帰る途中、秋から貰ったチョコの装飾をとって食べようとした。

「あ」
俺はふたを開けると驚いた。
そこには俺の想像した一之瀬へのチョコがあったのだ。

「ねえ秋?」
『どうしたの?』
「お前、渡すチョコ間違ってない?」
『う、ぅぅん。間違ってないよ』

秋に電話した。
電話をするとすぐに出てくれたけど、なんだか落ち着いてない。

「だって、チョコに好きってかいてるぜ?一之瀬にやるやつじゃないのか?」
『ち、違うの!』
「え…」
『そ、それね、土門くんに…』

俺はなんて馬鹿な男だったのだろう。
ホワイトデーには秋から貰ったチョコより大きいお菓子にチョコペンで好きってかいて、それに花束を添えてあげなきゃ。







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