初めてのおつかい…?

呼ばれるままに下の階へと降りていくもその場にバナンと来客と言われていたメンバーもおらずアルバートは瞳を丸くし首を傾げて辺りを見つめその姿を探すも見つけられずに少し不服そうな表情を浮かべて近くの椅子に腰を下ろした所で、仲間の一人が歩み寄りアルバートに伝言を伝えた。


「アルバート、バナンさんからの伝言があるんだけど」
「ん?俺に伝言なんて…何かあったのかな?取り敢えず聞こうか」
「おぅ、確か…『この基地内にある機密の書類をナルシェに届けること。場所はお前が昔かくれんぼでよく隠れていた場所だ』だそうだ」
「…なるほど…な。何となく分かった。とりあえず俺が行くための準備を頼んでもいいか?」
「了解した。すぐに整えとくよ」
「あぁ、俺もすぐに見つけて戻ってくるよ」


それから一度自分の部屋へと帰ってから母親の形見であるフルートに軽く口付け、鞄へと入れてからバナンの伝言を元にし機密文書を探した。
拾われてから小さい子の面倒をみるときによくかくれんぼをして遊んでいた事を思い出し、アルバートはバナンのベッドの下を見つめて手を伸ばすも中々取れず、身体をベッドの下へと滑りこませ裏側に隠してあった封筒を見つけて口端をあげた。


「へぇ、また懐かしいところに隠してあるもんだ。…よっ…と…。っふぅ…まったく、バナンさんも茶目っけあるもんだな……」
「アルっ!」
「分かってるって、すぐに行く!」


仲間に呼ばれて返事をしながらその手にした機密書類を鞄の中にしまいこみ、アルバートは下の階へと急いだ。そこには仲間が集まっており、自分よりも年上の者や年下の者、男性や女性など様々な年齢の人が集まってアルバートを待っていた。


「気をつけてな。危なかったら俺らを呼べよ?」
「アル兄ちゃん、いってらっしゃい。」
「アルバート、しっかりね……」
「アルお兄ちゃん、頑張ってね?」
「みんな…サンキュ…んじゃ、行ってくる!」


仲間からの無事を祈る言葉にアルバートは薄く微笑みを浮かべるも瞳は鋭く凛として、しっかりと一つ頷いてから足早にナルシェへと向かっていった。



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