救出、そして安堵感……

様子を伺うようにアルバートのことを見つめていた三人であったがいち早くエドガーが我に帰り、目の前のカプセルを開けようとあちこち探ってみるもののその様なスイッチが無く首を横に振った。その仕草を見てマッシュは拳を作り、自慢の力技でカプセルを割ろうとした。しかし、カプセルはびくともせず鈍い音をその場に響かせるだけに終わってしまった。


「早く出してやらないと……」
「エドガー、スイッチか何かあるか?」
「いや…なさそうだ…くっ…アルバート……」
「兄貴、どいてくれ……ふぅ…はぁっ!!…っく、これでも駄目か」


マッシュの拳でもびくともしなかったそのカプセルを観察していたエドガーはふと気付いたのかマッシュへと指示をした。その指示にマッシュは戸惑いながらも従うのであった。その指示とは、『もう一度カプセルの同じ場所へと拳をぶつける事』だった。
マッシュは言われるままに再度拳へと力を溜め、全身の体重と共にカプセルへと力を叩き付けた。
すると、小さいながらも亀裂がカプセルへと走りそれを見たエドガーはオートボウガンの照準をその亀裂へと向ける。
そして放った一撃がその亀裂を拡張させるかのように徐々に広がっていきマッシュは兄の後押しをするように最後の一撃をカプセルへと走らせた。
その衝撃でカプセルは砕け、中からの水に押し出されるかのようにアルバートが出てきた。

アルバートを抱えエドガーは普段とは掛け離れた必死の表情を浮かべ、名前を呼びかけながら頬を軽く叩いた。
それの衝撃からアルバートの眉がピクリと動き、軽く咳き込みながらも意識を浮上させゆっくりと瞳を開いた。そして、普段では決して見ることができないであろう必死の形相に弱く微笑みを浮かべてエドガーの頬へ手を添えた。


「アルバート…おいっ、頼むから…目を開けてくれ…アルバートっ!」
「エドガー……」
「兄貴……」
「っ…げほっ…っは、はぁ…ぁ…みん、な?」
「「「っ!アルバート!!」」」
「っ…はは…まったく…王様がなんて顔してんだよ。それじゃ…イケメンが台無しだぜ?」
「っ…あぁ…そう、だな…」


意識を取り戻したアルバートを見てエドガーは安堵からか言葉が途切れるも、その代わりに力強く抱き締めた。もちろん痛くない程度に。
その様子にロックは瞳を丸くしエドガーのその行動に呆気に取られてしまっていた。
一方マッシュは分かっていたのか、やれやれというように肩を竦めさせ二人を見守っている。
一番驚いたのはアルバートで、いきなり抱き締められ何がなんだか分からず混乱してしまうものの、エドガーの暖かさと包まれている安心感からゆっくりと瞳を閉じてこの安心感に身を委ね、再び意識を沈めていった。

意識を失ったアルバートをエドガーは横抱きにし、身体が冷えないようにとマントで包んだまま抱えてセッツァーとの合流地点へと急いだ。
そこではセッツァーが飛空挺を準備して四人の到着を待っていた。


「おいっ!こっちだ!」
「あぁ、すまない…助かるよ」
「気にするな…それにしても、その腕の中のお嬢さんはどなたかな?」
「…セッツァー…?」
「おっと、怖い怖い…。っと…急いでここを出ないとな、行くぜ?」
「お前セリスの心配もしろよっ!!」
「それじゃ、セリスはどこなんだよ?」
「セリスは……」
「ほら、言えないじゃねぇか…」


セッツァーがアルバートを見て興味を惹かれるそぶりを見せた途端、エドガーは冷たい眼差しをセッツァーへと向けた。その眼差しに肩を竦めたセッツァーは急ぎ飛空挺を起動させ一路ティナが待つゾゾへ向けて出発した。




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