儚き花の行方
悲しみの鐘の音



セバスチャンとの攻防を繰り広げている中、ウィンはクリスタルパレスの中を舞っている光に気付き歩みが自然と止まってしまった。その様子にロナルドはウィンを急かす。
しかし、そんなロナルドには目もくれず光を見つめて小さく呟いた。

「おいっ、急いでるんじゃないのかよっ!?」
「ちょっと待って!この光って…魂、だよね?」
「あ?…確かに…これ、1つ1つが魂だな……」
「…まさか…エリック先輩、まだ止めてないんじゃ…っ…」
「あ、おいっ!ったく、世話の焼ける女だぜっ……」

光が舞う様子はまるで雪のようにウィンとロナルドの周りを埋め尽くしていく。その様子を見てウィンは直感にも似た感覚を覚え、早くエリックの元へと向かうために止めていた足を再び動かし始めた。ロナルドも再び走り出すウィンの後を追うように足を動かしていく。


一方、中心部の方ではエリックとセバスチャンの戦闘が未だ続いていて休んでいたアランがエリックの独白、そしてセバスチャンの言葉を聴いて事情を察しエリックを止めようと必死に声をかけていた。

「エリック!お前は…俺との約束を破ったのか…?俺の為にまた罪を重ねたのかっ!?」
「後1つ…後1つなのに…後1つの魂があればアランは助かるんだっ!!」

エリックに止めを刺そうと戦闘でエリックの手から離れた死神の鎌をセバスチャンが振り下ろそうとした瞬間、アランがセバスチャンの懐へと飛び込み死神の鎌を取り落とさせた。
その行動にエリックは瞳を見開きアランの名前を呼ぶ。アランは息も切れ切れにエリックを止めようと諭す。しかし、エリックの視線はアランへと向かわずその先にいるシエルへと向かっていた。

「止めろぉっ!!」
「アラン……」
「まだそんな事を言っているのか…いい加減にっ……」
「あぁ…ここにもあるじゃないか…魂が…。シエル・ファントムハイヴ…お前の魂をっ!!」

エリックが自分の死神の鎌をシエルへと振り下ろそうとするのを見てアランは咄嗟にシエルを庇うように覆い被さる。そして、無常にもエリックはそれに気付かずそのまま振り下ろしてしまった。
エリックの死神の鎌はアランの背中を袈裟懸けに切り裂き自分の助けなければいけない相手へと致命傷を負わせてしまった。

そのタイミングでウィンとロナルドもその場へと駆け付け目の前に広がる光景に瞳を見開き、固まってしまった。

「うぉぉっ!!」
「っ!」
「アラン先輩っ!」
「ぁ…ゃ…い、や……いやあああああああっっ!!!」

空しくもその場には1000個の魂が集まったことを伝える鐘の音と、ウィンの悲痛に満ちた悲鳴がその場に響き渡るのみだった。
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