儚き花の行方
魂舞うクリスタルパレス



ウィンとロナルドがパレス内部へと向かっているその時、エリックはアランと行動を共にしていてアランの病を治すために魂を狩り取っていた。するとそこにはシエルを救い出したセバスチャンがその場へとやってきた。

「あっ…かはっ…がっ」
「アランっ!」
「大丈夫…少し休めば治まる…っ、あっ…がはっ!」
「…エリックさん…貴方はきっと、殺しを続ける……」

そのセバスチャンの言葉に焚きつけられたかのようにエリックは自分の死神の鎌を握り締め、その場にまだ残っている人々の魂を狩り続けた。その様子は見ていて苦しく、そして切なさが込み上げるように悲しいものだった。
そして、そのエリックを見つめて冷徹に言葉を紡ぐセバスチャンは呆れよりも哀れみのこもった視線を向けていた。

「すまないアラン…俺は諦めきれない、お前をっ…お前の命をっ!!」
「ですが、気づいていますかエリックさん。殺せば殺すほど、貴方の纏う死の気配は濃くなっていく…しかし、アランさんがそれを求めていない限り、それは無意味……」
「…アランは俺を許さないだろう…でも、それでもっ…これが俺の友情…」
「友情…?そんなもの、くだらないですね。唯一信じられるもの…それは、契約……」

エリックがこの殺しを止めない、いや、止められない理由はアランを助けたいと思うその気持ちと今まで培ってきた友情がこの行動の源であると、エリックは搾り出すようにそう告げた。
しかし、そんな言葉もセバスチャンには届くわけもなく冷たい言葉で切り捨てた。そして、自分の中で一番に信じているものを気迫とともに告げる。そう、それは自分の主であるシエルとの契約であった。
その様子にエリックは神経を逆撫でされたように憎しみをこめた視線をセバスチャンに送り、その視線を柔らかい微笑みで受け止めるセバスチャン。
そんなセバスチャンにエリックは憎しみをこめて名前を叫んだ。

「セバスチャン・ミカエリス!!」
「随分と魂が集まったようですね。700人以上の魂が宙を舞ったクリスタルパレスでの殺戮オペラ…もはや、魂が1000個集まるのも目前では?」
「おかげさまでなぁ、後一個だ」
「それは素晴らしい…おとぎ話を無邪気に信じ、健気に魂を狩り続けた甲斐がありましたね?さぁ、エリックさん。貴方がここで死ねば最後の魂が手に入りますよっ!」

その言葉を聞いたエリックは薄く微笑みを浮かべてセバスチャンへと斬りかかっていく。それが分かったセバスチャンも持っていたナイフやフォークで対抗し、華麗な足技でその攻撃をいなしてはそのまま攻撃にも持っていく。
攻撃の応酬が幾度か繰り返されセバスチャンが投げたナイフがエリックの右肩へと刺さりその痛みに表情を歪めるも手で抜いて狂気が滲んだ微笑みを浮かべながら攻撃を繰り返す。


運命の時まで…あと、少し……
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