僕の好きな人はいわゆるただのノンケで。

今日も相変わらず僕の気持ちなんかこれっぽっちも気づかずに、僕をナンパに誘う。冷静に考えたらかなり傷つくものだけど、僕はどうやらそれに慣れてしまったみたいだ。

「みーかどっナンパ行こうぜ!」

「また行くの?昨日全然ダメだったじゃんか」

「過去をいつまでもひきずる男はモテないぞ!」

「いや、僕の過去じゃないから。正臣の過去だから」

いつもどおりな会話をする。こんな会話にもいい加減なれたけど、でもやっぱり。

正臣はなんだよーと言いながら頬を膨らましている。そんな正臣を横目でチラリと見ながら僕はため息をついた。

正臣にナンパをするのを誘われるのもノンケ全開の会話するのも慣れたけど。慣れたけど、それでも普通に傷つく。慣れたからといって傷つかないわけじゃない。単純に考えて正臣はひどい奴だ。まあ、気持ちを伝えていない僕が悪いんだけど。

「杏里はー?どうする?俺らこれからナンパに行くんだけど」

「いや、僕行くって言ってないからね」

「私は、今日…用事があるので、」

園原さんの返事に正臣はまじかーと落胆して言った。まあまずナンパに女の子誘うこと自体どうかと思うんだけど。

「残念だったなー帝人。杏里いなくて」

園原さんが教室から出ていったあと、正臣は残念そうに言う。そうだね、と上の空に返事をしたが、心の中はもやもやしたものが渦巻いていた。正臣は僕が園原さんのこと好きだと思っているみたいだ。いや別に園原さんのことは嫌いじゃない。けどやっぱり僕が好きなのは正臣なんだ。正臣が声をかける女の子の百倍僕は正臣が好きな自信がある。だって幼なじみの頃から正臣が好きだったんだから。

正臣。僕が君をどんな目で見てるか分かる?正臣が女の子に声かけるとこどんな思いで見てたか分かる?ナンパに行こうって誘われるのもどんな思いで聞いていたか分かる?

「おっもうこんな時間かー」

時計を見て呟いた正臣の声にハッとする。いつの間にか教室は僕と正臣の二人で。

教室に二人きり。

そのシンとした空気に思わず緊張してしまう。僕は拳を握った。これはチャンス、だ。このまま何も言わなかったら正臣はナンパしに街に出てしまう。

言わなきゃ。言ってこんなせつない思いとはさよなら、だ。

「あの、さ。正臣、」




今から君に告白します







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