(現パロ) * 大きな図体をしてて何が嫌いだ、とオズはギルに呆れてしまうことがある。 とにかくギルは嫌いなものにはめっぽう弱い。猫を投げつければ未だに悲鳴を上げるしピーマンを無理やり食べさせればフリーズしてしまうくらい。 そうしてオズが商店街のガラガラでゲットした!と得意気に幼馴染みの家へ遊園地のペアチケットを見せに来た今、ギルは『遊園地はいいがお化け屋敷は行かないからな。』と釘をさしてきた。お化け屋敷好きなオズとしては不服で仕方ない。 ぷくり、と膨らませた顔でギルを睨み付けてみる。 「なんで? 遊園地といえばジェットコースターとお化け屋敷は絶対だろ!」 「だからっ、オレはお化け屋敷が嫌いだと昔から…!」 「オレはお化け屋敷で怖がってるギルを見るのが好きって何回言ったらわかるの?」 「さらりと酷いこと言うな!」 本当にこの幼馴染みは容赦がない。多分冗談とかじゃなく本気で言っただろう台詞だからこそギルは頬をひくつかせた。 それでもねえ、とオズに迫られれば弱い。一歩近づかれ、反射で同じ分だけ後退したギルにオズの眼差しは余計に剣呑になる。しかもせっかく当ててきたのに!と責められて俯かれると何だかすごく悪いことをしている気分になってきた。ギルがあせあせ、と無意味に手を動かす。 「い、いや…仕方ないだろう苦手なものは苦手なんだから…。」 「…ギルの怖がり! ばーか!」 「はあっ!? だから怖いんじゃなくて苦手なだけだ!」 「それを怖いって言うんですぅー!」 9歳も離れているのにぎゃあぎゃあと対等な喧嘩をしてみせるのはただギルの精神年齢が低いからなのか。それでもこの年で怖がっていると言われるのは例え事実でも認めがたくギルは何とか言い返さねばと頭をフル回転させた。 「お、オレはオズより長く生きてるからな…! だからその分おまえより怖い話とか怪談とかが頭の中にあるから仕方ないんだ!」 言ってから流石に少し無理があったか?とは思ったが目の前のオズはぶうっと頬を膨らまして『何それ!』と眉を吊り上げる。腰に手を当て仁王立ちになった姿はギルより遥かに小さいのに何故か威圧感があった。 そうしてオズがこういう態度を取れば次にどんな反応をするかギルはわかっている。長年の付き合い、というか幼馴染みなのだから。 つまりオズは負けず嫌いを発揮するわけで。 「いいよ、ならオレ行くまでにホラー映画見まくってから入ってやるよ!」 「な、んでそうなるっ?」 「だってギルがそんなこと言ったからだろ!」 ギル以上に怪談取り込んで入ってやるもん、と告げるオズにそう言われれば自分からした発言のためギルには何も言えない。ぐ、と詰まった言葉に別の意味で失敗したと心底思った。どうしてお化け屋敷に入ることが決定しているんだ。 ギルがオズに口で勝てることはまあないが、それでも今日もまたこの幼馴染みに良いように誘導されたのではと思うと一度くらい勝ってみたくはなる。 「…わかっ、」 「あ、DVDのレンタル料はギルが出してよね。」 「………。」 勝ってみたくは、あるけど。あらゆる方面で強かなオズには勝てそうになかった。しかも年下で学生のオズに金銭を出させることももちろんギルのちっぽけな矜恃と大きな優しさから出来なくて泣く泣く『…はい。』と返事をし財布を出してくるだけである。 * オズにへこへこさせられてるギルオズが好き!笑 10.11.17 |