【愛の訳し方】
〜真田 弦一郎 ver〜
―『I love you』を【愛】を使わず自分の言葉で訳しなさい―
昨日国語の課題で出された問題は提出日の今の今まで私の頭を悩ませたまま答えは出せずにいた。
課題なんだから、適当に書いてしまえばいいのかもしれない。
でも、適当に『愛』というものを形容してしまえば私の隣にいるこの人への気持ちが適当だと言ってしまう気がしてどうしても書けないでいた。
じゃあ彼はなんと回答したのだろうか?
気になって隣の机を覗き込んだ。
そこにはとても真田らしい回答が書き込まれていて、思わず笑みが漏れた。
「何がおもしろいことでもあったのか?」
「んー?なんでもないよ?」
「そうか」
急に笑い出した私が気になったのか納得いかないような顔をしながらまた前を向き直す真田の横顔を見つめた。
そういえば、告白された時に真田に言われた言葉だなぁと当時の事を思い出した。
色々なものに追い詰められて怖くて苦しくて泣くしか出来なかった私を受け止めて、叱咤して、守ってくれた。
あの時から、ずっと私は彼の大きな愛に包まれてきたんだ。
「ねぇ、真田。」
「なんだ?」
「私も真田を守るよ。」
そう言ってにっこり笑うと少し間を置いた後、言葉の意味を理解したのか驚いた様に目を見開いて視線を逸らしながら「たるんどる!」なんて言うから私はまた笑った。
たまには私の愛も思い知れ。
守ると誓います
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