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▼ ふりだしにもどる

 イヌピー君が一番生き生きと話すのは黒龍の事だ。
 とりあえず真一郎君ワカ君ベンケイ君がマジかっけぇ事はわかった。わかった。わかったんだけど。

「君たちってつまり誰が一番強いの?」

 以前からうっすらと抱き続けていた疑問を投げるとイヌピー君はあっさりと答えた。

「マイキーだな」
「えっ、真一郎君じゃないの?」
「真一郎君はドラゴンボールで例えると戦闘力5だ」
「え!? あんだけカッコイイって言っといて!?」
「かっけぇってのはそういうことじゃねんだよ。あと花垣も戦闘力5だ」
「あ、やっぱそうなんだ……。実は意外と強いって事じゃないんだ……。じゃあじゃあ、この際皆ドラゴンボールのフリーザ篇で例えてみてよ! えーと、フリーザはマイキーなんだね。てかマイキーって外国の子?」
「バリバリの日本人だ。本名佐野万次郎」
「めっっっちゃ日本人やん!!!」
「マジでやべぇ強さだぜ。身長もオマエと大して変わんねぇし、マジでフリーザ最終形態って感じだ」
「え!? そうなの!? ほんとにフリーザ最終形態じゃん……あ、意外とあっさりしてるなって感じの……あっさりした見た目だからこそ怖いていうか……ドラケン君は?」
「アイツもまあまあフリーザだな。ウチの100人相手にして普通に勝ってたからな」
「待って待って待って待ってちょっと待って」

 10人ならわかるけど100人相手にして勝ったの言葉が理解できずに私は頭を抱える。100人? 100人? ちょっと待って100人? フリーザじゃん。もうドラケン君がフリーザじゃんでもドラケン君でまあまあフリーザって事はマイキーどういうことよ……。絶対近寄らんとこ……。
 マイキーとやらには絶対近寄らない事を固く決意し、また別の名を出してみた。

「松野君は?」
「クリリンくらいじゃね」
「常識的な強さなんだね。よかった……。松野君良い子だしね」
「……。あいつ昔歯向かってきた奴裸に剥いてつるしてたらしいぜ」
「………………………そうなんだ……」

 知りたくなかった松野君の末恐ろしい一面を知ってしまい、笑顔が引き攣るのを感じた。あの可愛らしい顔立ちでそんな事をしてたんか……。ドン引きする私をイヌピー君は何故かうんうんと頷きながら見ていた。真顔だけどどことなく満足気な表情だ。

「三ツ谷君と八戒君は?」
「三ツ谷は……ピッコロ、八戒は………クリリン?」
「私に聞かれても……ていうか、イヌピー君は?」

 一番気になっていた疑問を口にすると、イヌピー君は一時停止し、長い睫毛をふるりと震わせて瞬きした。イヌピー君どれくらいなんだろ。強くても弱くてもいいけど単純に気になる。

「…………オレは…、」

 ワクワクしながら答えを待つ私からイヌピー君は気まずそうに目を逸らし、重々しく口を開いた。

「……………………ベジータ」
「えー! 超強いじゃん!」








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