アドレス帳に新しく追加された『龍宮寺堅』の文字を見ている内に、夏休みは終わった。








 久しぶりの学校は相変わらず暑かった。クーラーの効いてない体育館は半ばサウナ状態で、クラスメイト達は熱中症一歩手前の状態で校長先生の話を聞いている。わかった、校長先生が子供頃は朝から蝉を取るのに忙しいのはわかったから………。始業式は男女別に分かれての背の順で聞いていた。うちのクラスの男子で一番背が低いのは佐野君だけど登校していない為、二番目に背が低い男子が先頭に立っている。その事に、わたしはホッとしていた。だってまだ、答えを出せていない。

 関わりたいのか、関わりたくないのか。何回も自分に問いかけたけど、その度に『わからない』という答えが導き出される。

 今まで、普通に生きてきた。普通に学校に行って勉強して部活でクラリネットを吹いてまた塾で勉強する。昨日と今日を入れ替えても差して問題のない毎日。だけど、佐野君と関わり続けたら、それが変わってしまうような気がする。

 夜以上に深い、漆黒の瞳。あんな目ができる人と関わるのは、怖い。

 だけど。

 ………また、だけど≠ェ出てきた……。
 関わりを断とうとする方向に意思が傾く度にだけど≠ェ邪魔してくる。堂々巡りの思考回路に嫌気が差して、小さくため息を吐いた。


「あっち〜〜! ……お、おはようございます」

 始業式を終え、帰りはバラバラになって教室に戻っていった。馬鹿みたいにはしゃぎながら一番に帰っていった男子の元気な声が急に萎み神妙な声に変わる。先生にもため口で話すような馬鹿男子を委縮させる人間をわたしはひとりしか知らない。

 ………もしかして。

 わたしの直感は当たった。教室に入ると佐野君が自分の席に座りながら足を机に投げ出して、ぼうっと窓の外を眺めていた。

「「「おはようございます、マイキー君!」」」

 男子全員が頭を下げて挨拶をすると、佐野君は「はよー」と気のない返事を返した。男子達の力み過ぎた馬鹿丁寧な声とは対照的な脱力した声だった。

 ………来ちゃった…。まだ、答え出していないのに……。

 今日はまだ来ないでほしかった。わたしの祈りは虚しく葬られる。というか、今からわたし佐野君の隣に座らなきゃならないんだよね。だってまだ席替えしてないもんね。佐野君の視界になるべく入らないように身を縮こまらせながら、恐る恐る、自分の席に着く。

 佐野君はわたしを見ない。多分視界の隅っこにわたしの髪の毛くらいは映っているはずだけど、一瞥もくれなかった。

 さっさと先生がホームルームを始めてくれればいいのに、そうしてくれていれば、会話がなくてもおかしくない。先生は食あたりを起こしたと言って今トイレに駆け込んでいる。始業式に向かう時もトイレに行ってから向かうと言って学級委員長に先導させていた。大事な受験生の時期にあの人が担任でいいのだろうか…。

 わたしと佐野君はいつも話している訳じゃない。佐野君の気が向いた時に、佐野君が思うまま喋って、佐野君が飽きたら会話が終わる。わたしと佐野君の関係の主導権は、全て佐野君が握っている。

 だから今も会話がないのは変ではないんだけど、無性に、どことなく、気まずく感じられるのはわたしの自意識が過剰なだけなのだろうか………?

 いっそわたしから話しかけてこの前の事をチャラにするか。いや、チャラにしたらわたしと佐野君の何とも言えない関係性が続行してまたこの前のような怖い目に遭うかもしれない。でも佐野君との関係を断絶するのは、なんか、こう。

「川原さん、給食費持ってきた?」

 悶々と思い悩んでいると学級委員長が目の前に現れ、給食費の有無を尋ねてきた。給食費、とオウム返ししてからそういえばまだ渡していなかったことに思い当たり、カバンから茶色い封筒を渡す。

「ごめん、遅くなった」
「ううん、私も川原さんに声かけるの忘れてたし。よし、これで全員………、」

 委員長は満足げに頷こうとして途中で動きを止めた。不自然に途切れた言葉をそのままに、視線をゆっくりと佐野君へ滑らせる。佐野君はぼーっと、空を眺めていた。

「……後で、先生から直接回収してもらえば…?」
「そうする……」

 わたし達は小声でこそこそと話してから、意味ありげに頷く。そもそも給食費の回収だって本来は先生の仕事のはずだ。わたしのクラスの担任は横着者で学級委員長にクラス全員分の給食費を回収させてから自分に手渡しさせる。委員長って大変だなぁ。お金集めるのって責任重大だし、なくしでもしたらえらいことだし…と同情しながら自席へ戻っていく委員長の背中を見つめる。委員長はわたしの給食費を持ったまま、机の中から何かを取り出そうとしていた。だけど、なかなか見つからないらしい。やがて焦った様子で椅子から降りて、机の中を漁りだす。

 ………ちょっと、待って。

 委員長の焦りがわたしにも伝わって、たらりと冷や汗が滲んだ。委員長は蒼白な顔色であたりを見渡している。やがて、意を決したように教壇に上がった。不安と焦りが綯交ぜになった表情でクラスメイト達を見渡しながら、震える声を張り上げた。

「ねえ、誰か、給食費知らない?」

 教室に溢れかえっていたざわめきが少しずつ収まり、やがて、完璧に静まり返った。

「……え、ない…の?」

 クラスメイトからの問いかけに、委員長は固く唇を結びながら頷いた。

「私、朝皆から給食費受け取った後、自分の机の中に入れてたの。体育館に行くまでは絶対あった」

 それだけは確かと言わんばかりのハッキリした声だった。
 つまり、盗まれたとしたら体育館にいる間という事。だけどクラスの皆はずっと体育館にいたのでアリバイが成立している。

 ただ、ひとりを除いて。

「犯人、オレじゃないよ」

 緊迫した雰囲気からかけ離れた、あっけらかんとした声だった。全員の猜疑心が自分に集中していると言うのに少しも怯んでいない。いつも通りの堂々とした姿だ。
 ……まあ、違うだろうなぁ…。横目でちらりと佐野君を見つめながら『だろうな』と頷く。佐野君は不良だけど、こそこそ盗むとかそういったせこいことはしないだろう。じゃあ犯人は一体誰だろう…と思案を巡らせていると。

「……………嘘くせー…」

 ぽつり、と誰かが言葉を漏らした。

 全員の視線が声の主に集中する。声の主であるひとりの男子は慌てて口を抑えていたがもう遅い。「バッカ、お前死にてえのかよ!?」と友達に諫められている。「え、あ…」と酸素を求める魚のように口をパクパクさせている男子を、佐野君はじーっと見つめていた。佐野君が見つめ続けるにつれて、男子は血の気を失っていく。だけど少したつと、弾かれたように「だ、だって!」と声を張り上げた。

「だってそうだろ! 始業式行ってなかったのマイキー君だけじゃん!」

 男子はヤケクソになったのか唾を飛ばしながら佐野君を指さすと、クラスメイト達は誰も声に出して同調こそはしないが、空気で肯定した。

 あいつならやりかねないと、皆、目で言っていた。

 しいん、と緊迫感に漲った沈黙が教室を支配し、物音ひとつ立てることすら憚れた。ただ、皆、ちらちらと佐野君に疑わし気な視線を送っている。

「でもオレじゃねえもん。持ち物検査、する? つってもオレカバン持ってきてねえけど」

 佐野君はポケットをひっくり返して何も入っていない事を主張するが、皆、疑いの目をやめない。

 始業式行かなかったの佐野君だけだし、不良だし、盗みくらいしそうだと、皆、無言で言っている。

 佐野君は仕方なさそうに肩を竦めた。クラスメイト達から冷たい目で見られているというにも関わらず、いつも通り飄々としている。普通の中学生は学校こそが自分の世界のほとんどでクラスメイト達から拒絶を食らったら絶望するだろう。でも、佐野君にとって学校はおまけのようなものだ。わたし達クラスメイトは有象無象で、彼に何も与えないのだろう。

 わたしも、佐野君にとって体のいい暇つぶし相手。ゲームに例えると、有力な情報も与えない村人C。

「先生帰ってきたら返すよう言ってもらおうよ」
「えーあいつ言えるかな…」

 皆、佐野君が犯人という前提で事を進めていく。小さな声だけど佐野君の耳にも届いているだろう。佐野君は特に怒りも悲しんでもいない。

 何も堪えていない。だから、いいんだ。別に佐野君を庇う必要なんてないんだ。

「やっぱ不良ってろくでもないね。いつかこういうことするって思ってた」

 誰かの嘲笑うような声が聞こえた時、青い空を寂しそうに見つめる佐野君が脳裏に蘇って、
 
「佐野君じゃない」

 気づいたら、わたしは声を張り上げていた。

 クラスメイト達の視線がわたしに集中するのを感じ、体が小刻みに震え始める。クラスの集合写真では端に映り二軍女子に属するわたしが皆の前で声を張り上げるのは初めての事だった。

「佐野君じゃないと思う」

 自分で聞いてて嫌になるほど、へっぴり腰の情けない声で説得力に欠けていた。案の定、クラスメイト達の誰の胸にも響いていなくて『何言ってんのコイツ…』と白い目が返ってくる。

「……でも、始業式の時いなかったの、マイキー君だけだろ」
「そうだけど、でも、佐野君は違うって言ってるよ」
「は?」

 一軍男子に威圧されて、ぐっと言葉が詰まる。そんなの嘘吐いているだけだろ。言語化こそされていないけど、皆、わたしに目でそう言っている。

 確かに佐野君が一番怪しい。ひとりだけアリバイない上に、彼は不良だ。物的証拠こそないけど状況から見たら、彼は完璧にクロ。

 だけどわたしは佐野君じゃないと確信していた。
 だって、佐野君は。
 わたしの知っている佐野君は。

 すうと息を吸い込んで、ぎゅっと拳を握りしめて、わたしは声を張り上げた。

「……佐野君がお金を欲しがるとしたら盗むんじゃなくて、奪い取ると思う。
 そこら辺歩いてる不良に喧嘩するように仕向けて、それで賞金とか言って強制的にお金を奪い取るとか、そういう感じだと思う…………!」

 シーーーーーーーーーーーーン。

 場が、静まり返った。…………と何とも言えない静寂が続き、皆、何とも言えない肯定の視線をわたしに送る。
『た、確かに……』と、皆、目が言っていた。

 水を打ったように静まり返った教室に、ガラッとドアが開かれる音が響く。朝の苦渋に満ちた表情とは打って変わりすっきりした表情の先生がひょこっと顔を出した。そしてわたしを見るなり「川原〜!」と不満そうにわたしを呼びつける。

「え、な、なんですか」
「なんですかじゃない! お前給食費まだ入れてなかったろ!」

 キャラもののクリアファイルを掲げながら、そう言った。

 …………はい?

 皆、目を点にしてぷんぷん怒っている先生を見つめる。学級委員長が「せ、先生」とおぼつかない足取りで先生に向かった。

「そ、それ、私のファイル……なんで……」
「え? ああ、お前いつもこれに皆の給食費入れてくれてんだろ? 始業式に向かう前にもらっとこと思って、お前の机から抜き取っといた」

 いけしゃあしゃあと生徒のプライベートを侵害した発言をかます先生に、わたし達は怒りを超えて脱力していく。

 と、いうことは。盗まれていなかった、ということで。

「お前今すぐマイキー君に謝れ!! オレも謝る!!!」
「マイキー君ごめんなさ……っていない!?」

 佐野君を最初に犯人扱いした男子が血相変えて佐野君に謝ろうとした時、佐野君は、姿を消していた。いつのまに教室から出ていったようだった。クラスの皆は顔を真っ青にして多分同じことを思ってる。

 死んだ。

 クラスの心がかつてないほど、ひとつになった。

「どど、どうしよう……! お礼参りとかに来ちゃう…!」
「オマエは女子だからいいよ! 問題はオレだよ嫌だよまだ死にたくないよーー! かーちゃーーん!」
「え、なに、どうしたオマエら」

 皆がどんちゃん騒ぎしている中、わたしはぽっかり空いた隣の席をじいっと見つめる。

 そしていつかと同じことを思った。


 佐野君、今、何しているんだろう。







 放課後、わたしは使われていない教室で、適当な椅子に座りながらクラリネットを組み立てていた。

 今日は塾はない。だけど家でクラリネットを吹いているとママに『そんなことしてる暇があるなら勉強しなさい』と小言を言われるので、学校に残って吹く事にした。ああはやく合格して、また自由に吹けるようになりたい。高校の吹部は経験者は中学の時と同じ楽器を充てられることが多いらしいから、多分わたしは高校生になってもクラリネットを担当できるだろう。

 組み立て終わり、腹式呼吸でクラリネットに息を吹き込むと、木管特有のまろやかな音が流れた。ド、レ、ミと音階をなぞっていく。

「あ、いた」

 聞き覚えのある声に、心臓がどくりと跳ねた。マウスピースから口を外し、ゆっくりと振り仰いだ先には。

「佐野君」
「よ〜」

 佐野君はひらひらと手を振りながら、いつも通りの悠々とした足取りで教室に入ってきた。わたしが座る椅子の斜め前の机に腰を下ろすと「それ」とクラリネットを人差し指で指した。

「好きだな。なんて楽器?」
「…クラリネット」
「ああ、あれか。パパからもらった〜ってやつ」
「うん、それ」
「そか。あのさ。この前は、ごめん」

 流れるように謝罪の言葉を言い終えると、佐野君はわたしにぺこりと頭を下げた。佐野君からの突然の謝罪にわたしは目を見張らせて、硬直する。佐野君は固まったわたしを真正面からじっと見据えたまま、言った。

「それで、さっきは、ありがとう」

 一言一言に真摯な重みが宿った声色で、そう言った。
 予想外の佐野君の行動にどう反応を取ればいいかわからず「えっと、」とか「その、」と意味のない言葉を重ねるわたしを佐野君はじっと見つめていたかと思うと、ふう、と息を吐いた。

「川原オレの事全然信用してねえんだなー」
「え! あ、いや、その…! あれは…!」
「まあ給食費盗むなんてせこい真似しねえのは事実だけどさぁー」

 佐野君は「あーあー」と投げやり気味に呻きながら、ぶらぶらと足を左右にばたつかせる。な、なんと言えばいいやら。さっきわたしがクラスメイトに言った言葉は紛れもない本音なので『あれは言葉の綾で佐野君が犯罪者になるなんて思わないよ』と今更言ってもただ薄っぺらい言葉として終わるだろう。

「て、適当な事を言ってスミマセン……」
「いいよー。つか、ありがとな、マジで。嬉しかったよ」

 佐野君はわたしに向かって、ゆるやかに微笑みかけた。大人びた微笑みに何故か心の内が寂しくなる。

 あの目をしている。空の更に向こう側を見つめる時と、同じ眼差し。

 どくん、どくん、どくん。心臓の音が体の内側から鳴り響いている。知りたい知りたいと、心がせがんでいる。

 わたしは、佐野君の事が知りたい。

 どれだけ怖い目に遭おうとも、佐野君が、気になる。

 ようやく出した答えはすとんと簡単に胸の中に馴染んだ。じわじわと体中に広がっていき、わたしは欲望のまま、佐野君に問いかける。

「佐野君、夏休み、どう過ごしてたの?」

 佐野君は少し面食らったように目を瞬かせたあと「んー、そうだな」と足をぶらぶら泳がせながら指折り数え始めた。

「集会して、愛美愛主とやりあって、ダチが捕まって、ダチと喧嘩して、ダチの見舞い行って、仲直りして、また愛美愛主とやりあって、で、ダチが死にかけた」
「え゛…っ」

 予想以上にハードな生活で思わず声が濁り、目が点になる。固まるわたしを見た佐野くんは「川原引いてる」と笑った。

「…そうだな。今年の夏も色々あった。……まあ、パーちんとはまた会えるし」

 佐野くんは薄く笑いながら、でも、寂しそうに呟いて。

「ケンチンも無事だった。…死んでねえ。これからも、ずっと、会える」

 二人の友達の名を噛みしめるように生きている事をなぞるように呼ぶと、佐野くんは少し顔を俯けた。

 佐野君。佐野万次郎君。東京なんたら会の総長で、怖い人。だけどありがとうとごめんを言える人。わたしとは住む世界の違う男子で、だけど、わたしと同い年。

 目の前の小柄な男子はこの夏で、大切なものが遠くに離れてしまい、大切なものを失くしかけた。

 ああ、だから、あんなに荒れていたのか。

 あの夜、佐野くんが怖かった理由に触れることができて、『わたし関係なくない?』と憤慨する気持ちもある。

 だけど、それ以上に。

「……佐野君、わたし、子守歌吹けるよ」

 藪から棒の提案に佐野くんは大きな目をぱちくりと瞬かせた。何言ってんだコイツ、って思われてんだろうなぁと恥ずかしくなりながらも、言葉を続ける。

 だけどそれ以上に、わたしよりも広い世界を知っていて暴走族の総長である目の前の男の子から、途方もない孤独感を感じ、胸が塞がれたみたいに苦しくなっていた。同情と表現するには生易しい気持ちが心を支配する。可哀想、なんて思わない。だけどなぜか少し、泣きたくなった。

 あの夜、生気を失ったように佇んでいたのは友達を失くしかけたからだったんだ。そう思うと、胸の奥底から湿っぽい熱がじわじわと込み上げて、わたしを作るすべてを蝕んでいく。

「今日も色々あって疲れたと思うし、その、よかったら、ここで昼寝してけば? わたしなら寝込みを襲ったとしても寝ながら返り討ちにできると思うし」
「ぶはっ」

 佐野君は急に噴き出した。背中を反りながら「寝込み襲うんかよ」と爆笑している。

「し、しないけど! 佐野君とわたしの戦闘力の差を考えたら絶対寝ながら倒せるし! もし万が一め、めびうす…? とかが来たら佐野君を起こしてあげれるし!」
「ははは! そっか! じゃあ、」

 佐野くんは机からひらりと降りると、わたしの隣の席に腰を掛けた。机に顔を突っ伏してからごろりとわたしに顔を向けて

「よろしくな、子守歌」

 悪戯っぽく笑ってから、静かに目を閉じた。

 佐野君は授業中ずっと寝ている。だけどわたしは授業を真面目に聞いている為、佐野君の寝顔をまじまじと見た事ない。だから今初めて、佐野君の寝顔をちゃんと見る訳であって。

 睫毛なが……。肌つやっつや……。唇ぷるぷる……。な、なんだこの人………? っていかんいかん。

 邪念を払うようにふるふると頭を振ってから、マウスピースを咥える。少しでも優しい音色が出るように集中した。

 今までわたしは自分の為に吹いてきた。自分が楽しむため、コンクールで良い賞を取るため、曲の完成度を上げるため。

 だけど今日は違った。小さな祈りを胸に抱えて、音に気持ちを吹き込む。


 どうかすこしでも、今だけでも。君が安心できますように。
 




Slumber, slumber



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