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あなたを独り占めできるその 瞬間(昭と賈充)

賈充は決して表に堂々と顔を出す事はなく、司馬昭の少し後ろで付き従う男であった。軍師として戦場で差配をとるのも、司馬昭が手をつけるには相応しくない処断や反逆も、彼がなにもかもそつなく行い司馬昭へ最善の結果を導いてくれる。まるで従者のような男である。彼自身への信頼は決して厚いとは言えなかったが、彼が司馬家や魏の為に行うへの信頼は厚かった。
「ありがとな、賈充」夜遅くまで書簡の作成にあけくれる賈充を労いにきた司馬昭は、賈充へといれたての茶を差し出す。「子上も気が利くな」と、賈充はお茶を飲み干してから、彼と視線を会わすように立ち上がる。「おまえがいてくれて、助かるよ」そう言いながら司馬昭は賈充を抱き締め、彼の鎖骨の辺りに顔を埋める。首元にあたる吐息に、賈充は嬉しそうに笑った。幾度となく繰り返したこの行為をするたびに、彼は魏の為でも司馬家の為でもなく、司馬昭の為だけに全てを捧げようと誓うのだった。


タイトルは選択式御題 さまさまよりお借りしました。

2013/03/12
msu
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