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*采配学パロ詰め合わせ(三+吉/虎+吉)


「できるかこんなもの」(三成+吉継)

「わかるわけ……っ!」「大丈夫だ、問題ない筈だよ」(三成+吉継)

なんでもない日常。(高虎+吉継)


高虎→人並み以上。物理のみ吉継以上。
吉継→成績ほぼトッブ的な
三成→英語と理科系が壊滅的な文系。










「できるかこんなもの」

「出来るか、こんなもの……」
 きーんこーん、とベルがなった途端に目の前の席に座った三成が呟いていた。手に握ったシャーペンを小さく音をたてながら置き、後ろから来る解答用紙を待つのも嫌になったのか机に突っ伏していた。
 が、プリントは回収しなくてはならないので、背中をつついて紙を渡せば、げんなりした表情のまま「ありがとう」と言われる。なんだか数時間前の元気がよかった姿が霞む位の沈み具合である。
 その後、自由解散になったので一緒に帰ろうと肩を叩けば、彼は曖昧に返事をしながら席から立ち上がった。
「どうだったかい?」
「俺、来年から進路を真面目に考えた方がいいかも……」
 特に話をする内容もなく、一応テストについて問うてみれば予想通りの返事をされた。
「君は元々文系希望だろう? なら化学じゃなくて生物を選択すればいい」
「じゃあ半年耐えればバケガクから解放されるんだな!」
腕をぐ、と握り締めて空へ向かって大きくガッツポーズをしていた。その、ころころと気分が入れ替わる様は、何度見ても飽きないものである。
「……三成。君は日本史の成績はいいのだから、記憶力はいいんじゃないのか?」
 彼はあー、と頬を掻きながら言葉を濁した。どうしたのだろうと思わず首を傾げれば、言いたくないのか、ゆっくりと三成は話し始めた。
「日本史は好きだから……ほら、英語も壊滅的だし」
 へら、と誤魔化すように笑われて、溜息しか口から出なかった。日本史だけ出来てどうするつもりだ、化学は兎も角英語は一生ついて回るぞ。と脅そうかと思ったけれど、私が想像していたのより化学の成績がかんばしくないようなので、黙っておく。三成は叱って伸びる子なのは確実だが、叱るだけでは可哀想になったのだ。
「今日、英語もあったと思うけれどな」
「ま、まぁ……解けなかったものの、授業で聞いた内容だというのは、覚えていたぞ!」
「答えがわからなければ意味がないだろう……」
「で、でも進歩したと思わないか吉継!」
 拳を握り締めて、やりきったような表情をした三成は、同い年は思えないほどに子供っぽく感じた。これだから年下のたまきに馬鹿にされるのか、と合点がいく。
「明日は君の苦手な教科はないようだね。明後日は少々問題があるようだけど」
「物理、なんて取れなくても、どうにかなるんじゃないか?」
「出来ればその台詞は化学が出来るようになってから言ってほしいね」
 げぇ、と呟いた彼はそっぽを向いてしまった。どうやら痛い所を突いたらしい。完全に頭の中が文系なのだろうか、理科類は全滅間違いなしのようだ。しかし数学は人並み出来るのだから、物理くらい成績が良くてもいいだろうに、自信がない言う。教師との相性が悪いとしても、平均的位とって貰いたいのだが。
「……藤堂にでも教えて貰ったらどうだ」
「俺の事嫌いみたいだし、……聞けそうにないな」
 無理だろう、と首を横に彼は振る。元々纏っている空気が軽薄だからか、苦手なのだろうか。だから私が藤堂に絡まれても君は助けてくれないのか、と思った。
「建築士を目指しているらしくて、正直担当より上手く教えるのだがな」
「そうなのか? なら、頼んでみようかな……」
「私の方から連絡しておくよ」
 この調子だと何時訊きに行くかわからないから、私の方から連絡しておこう。携帯に今日の夜メールしたら、明日の放課後に時間は取れるだろう。と三成を放置して考えていれば、前方に見えるファーストフード店。
「少し勉強してから帰ろうか」
 店を指させば、三成は嬉しそうに頷いた。












「わかるわけ……っ!」「大丈夫だ、問題ない筈だよ」

「イヤホンかヘッドホンは持ってきたかい」
「持ってきたぞ。吉継は?」
 英単語帳と睨めっこするの厭きたらしい三成に、イヤホンの有無を問えば、鞄をがしゃごしょと弄くって、明るいオレンジ色をしたイヤホンを見せてきた。
「私か? 勿論持ってきたよ」
「……というか、吉継は受けなくてもいいんじゃ」
「そうでもないよ三成。大学までは出たいから、勉強しないと」
 きっかけは君だけどね、と言ってやれば喜んでいいのか、悲しめばいいのか。困っているらしく、曖昧な笑みを三成は浮かべていた。
「うぅ、俺の所為でまた吉継に迷惑を……」
「物理のテストで赤点を取って、プリントの問題を解説したのも無意味なんて思ってないから」
 次の駅で降りるぞ、と本をしまうように指示すれば、本を適当に突っ込んだ三成はイヤホンだけをパンツに忍ばせていた。
「今日は付き合ってくれてありがとう」
「それは終わってから言ってくれないか。まぁ……藤堂につけまわされるマシだからな」
「相変わらず、藤堂さんとは仲がいいんだな」
「冗談はやめてくれ、三成。こっちとしては多大なる迷惑なのだから」
 クラスメイトの藤堂を思い出しては、げんなりとした。テスト前は良く机をくっつけて理系の勉強をするものの、(大体三成は先生に質問をしにいっている)そこまで親しい訳じゃない。その癖、三成がいない時ばかり近寄ってくるものだから余計に腹が立つのだ。三成は藤堂の邪魔をしてはなるまい、と思っているのか、そさくさ島津の方に行って怒られたり、たまきと話をし始めたりしてしまう。藤堂は三成の事をどう思っているのか知らないが、とりあえず私と藤堂を二人きりにして欲しくないと願うばかりである。
「そうなのか? 吉継と藤堂さんは仲がいいものだと……」
「有り得ないね。……とりあえず電車、降りるよ」
 いつの間にか目的地についていたものだから、急いで立ち上がって電車から降りる。三成は自分の足に躓いてバランスを崩したらしく、少し恥ずかしそうに頭を掻いていた。
「…………ドジっ子なのか?」
「違うと思うぞ」
 こちらを心配するかのような視線で見られた、そうすれば無性に腹が立つ、が三成だから曖昧に笑んで誤魔化せた。
「今日は何を受けるんだい?」
「……読解の難しいのを、今の俺が受けてもわかる訳ないだろう? だから、文法の基礎を受けるつもりだ」
「そうか。私は違うのを受講するが、九〇分で終わるのに違いはないのだし、一緒に帰ろうか」
 駅から徒歩数分にあるビルへと歩を進める。通学中に毎日、車窓から眺めている風景であるのだが降りてみると案外新鮮なものである。パチンコ屋と百貨店、他小売店がいくつも乱立していて、まるで統一感がない。未だ発展途中である事を示しているようである。
「ところで三成。クラス順位はどれ位だったんだ?」
「あー……半分位だったけど。吉継こそ……、やっぱりなんでもない」
 絶対にいいに決まっているよ。と、私にそっぽを向けて呟いていた。
「それがだな……藤堂と賭けをして負けたのだ」
「へ?」
「藤堂に私が全教科勝ったなら、某有名店の塩昆布を大量に買わせるつもりだったんだが、」
「塩昆布に有名店があるのか……世の中は広いんだな」
 興味深げに頷いて、少しばかりずれた相槌を打ってくれる三成にありがたいと改めて思った。なんだかんだいって、対人関係に乏しい私にとっては数少ない友人である。
「世の中は広いし、なんでも有るものだよ三成。……物理で負けてしまって、…流石に建築家志願者には無理があったな」
「どうして建築と物理に関係があるんだ?」
「はぁ……君は相変わらずバ/カなんだね」
「う、煩いな! これでも少しはまともになって……」
「はいはい、わかったよ。……じゃあ、一時間半、頑張ってやらないと」
 予備校の校舎へと足を踏み込めば、見た事のないような風景が広がっていた。












なんでもない日常。

「なぁ、吉継」
「どうかしたのかい、藤堂?」
 目の前でノートに問題を解いていた吉継が、ふ、と顔をあげて首を傾げてきた。しかし手は相変わらずシャーペンを握りっぱなしで、がりがりと数列を綴っている。本当に生真面目な奴である。
「あんた真面目なんだな」
「成績を落とす訳にはいかないからね」
 特待生を外されたら困るのだ、と困ったように彼は言う。そういえばこいつは特待生なのだったか、ならば成績をキープしなければまずいというのは納得がいく。
「あぁ、なるほど。それは落とす訳にはいかないか」
 会話が終了したと確認したのか、吉継はもう一度机に向き直っていた。問題集に細かい文字で図形へ付け足し、模範解答を覚えているかのようなスピードで答案を作成していく。そこまで出来るなら、勉強しなくてもかなりいい成績が取れるだろうに、努力する事を怠らないなんて学生の鑑である。
 暫く話に付き合ってはくれないだろう、と思い自分も放置したままの物理の問題集へと手を伸ばす。効率のよい学習は自身が得意だと思っている課題から行う事だ、という話を聞いた事があったので選択してみた物理なのだが、授業で内容を理解しきっているからか問題を難しく感じず、面白みがない。すぐに厭きてしまって、ぱたりと本を閉じた。代わりに、何をやろうかと吉継の方を眺めながら思案していれば、彼の手が止まっている事に気がついた。
「わからない事でもあるのか?」
「ちょっと発展問題がわからないのだ」
 わかるか? と見せられて、絶句する。それは過去、某有名難関大学で出題された問題であった。数学と物理は似ている所があるお陰で、数学の成績もある程度はとれているのだが、問いを読んだ段階で解き方を閃かないというのはどういう事なのだろうか。
「いや、これ解けなくても、問題ないだろ」
「……大丈夫だとは思うが、」
「が?」
「解けないのは気に食わないだろう」
「否定はしないけどな。……ま、二人で解けばどうにかなるだろ」
「そうだな。……どうせ勉強に厭きてきた頃なのだろう?」
 時間潰しに丁度いいんじゃないのかい、とからかったように言われた。あぁ、違いないな。と期待通りであろう返答をしてやれば、吉継の笑みは深くなった。



2010/01/23
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