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**これが私の罪なのです。(岱→超)

大徳工業&馬岱がちょっぴりおかしい。










 白に近い金髪をシーツに散らし、ばさばさと長い睫毛を伏せて眠っている姿はまるで天使のようだった。昼間の活発な姿も、クラスメイトにぶっきらぼうに接する姿も、黙々とバイクの手入れをしている姿も、そりゃあ最高だけれども布団の中にいる時以上に愛らしい顔なんて俺は知らない。授業中、顔を机に埋めなら眠っている姿だけを知っているクラスメイトは、この眉に皺が寄ってない姿をどう思うのだろうか。参道してくれる人もいるかもしれないが、俺は誰にも見せたくなかった。
 九月に入ったというのに、うだるような暑さ。しかしこのアパートに備え付けてあるエアコンは、びちゃびちゃと水が垂れてくるだけで冷たい風など発生しなかった。仕方がないので、なけなしのバイト代で購入した中古の扇風機を回しているのだけど、全然涼しくない。やはり生暖かい風をかき混ぜた所で、何も変わらないようである。ふ、と溜め息を吐きながら外を見ると太陽が昇りはじめていた。
 そういや朝一番にジョギングに行きたい、と言っていたか。もう起こそうかと、若の肩に手をかけて優しく揺さぶる。んん、と呻きながら若は俺を振り切るように寝返りをうつ。
「若、もう朝だよぉ」
「うぅ……」
「若がジョギング行くって言ったんでしょ?」
 眠たそうに目を擦りながら背中を持ち上げた若は、とろんと溶けてしまいそうな目をこちらへ向けてきた。いつもの精悍な顔立ちが、思い出せない位に幼い顔である。
「まだ俺は寝るぞ」
「ちょっと、せっかく起こしたのに!」
「目が覚めんのだ、馬岱。あと少しだけ……」
「これ以上日が昇ったら、暑くて歩ける所じゃないって。今、行かないなら夜にするよ」
「……ん、そうだな」
 少しばかり呂律の回ってない声で答えると、また布団に寝転がってしまった。そうして暫くすると、眠ってしまったのか、すぅすぅと規則的な寝息が聞こえる。
「全く若は、すぐ寝ちゃって……」
 額にはり付いている髪の毛を、顔から退けてから髪を撫で付けてやれば、気持ちがいいのか鼻に抜けるような声を出している。ここ最近、彼は恐ろしい程に眠る生活を送っている。まぁ、彼が眠たがるのは俺の所為なのだけども。
 二人でご飯を食べているテーブルに置いてある、小さなガラス瓶。サプリメントだ、ビタミン剤だなど言って彼に飲ませているが、本当は睡眠薬である。眠っている姿を少しでも見たいが為だけに飲ませ続けているのだ。
 俺は若が好きだ。けれど、俺達二人で愛し合うには障害が多すぎた。まず第一に若には同性愛者ではないという事、もうひとつは血が繋がっている事である。同性愛かつ近親相姦。言葉だけでも犯罪まっしぐらだ。しかも彼自身はからきし色恋沙汰に弱いというのに、如何せん顔がよい。白く抜けた髪と焼けることのない白い肌は人目をひくし、意志の強そうな金色の瞳はとても美しい。それに、少々融通が利かないとはいえ生真面目な男とくれば完璧だろう。
「どうして従兄弟なんだろうねぇ、」
 血が繋がっていなかったら出会えなかったかもしれないし、二人で下宿なんて不可能だっだろう。けれど、思うのだ。もし二人が赤の他人で、若が女の子だったらこんなに悩まなかったのに、と。
「おやすみ、若」
 ふふ、と堪えられない笑みを溢しながら、眠っている彼に口付けた。


cherry_lover92は6時間以内に7RTされたらその人が指定したCPを描き(書き)ます。RTの際にはCP指定を忘れずに☆ http://shindanmaker.com/142202 
お題by選択式御題さま

2011/09/14
msu
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