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戦☆パラ詰め合わせ


宗茂を餌付けするモブA
えりばでぽっきー!(兼三)










宗茂を餌付けするモブA
 目の前にたんと置かれた食べ物は、いくらたっても減らなかった。おにぎりや団子といった庶民的なものから、名も知らぬ南蛮のものまで置いてある。どれに手を付けても今まで食べた事がないくらい美味しくて、思わず箸が止まらなくなる。
「……美味しいです」
「それなら、よかったです」
「ところで、…………貴君は食べないのですか?」
「私は一杯味見をしたから、残りは宗茂様が食べて」
 へへ、と嬉しそうに貴君は笑いながら茶をすする。こんなに小さな腕で我への料理を作ってくれるのなんて、感無量である。
「貴君も少し食べなくては、」
 近くに置いてあったおにぎりを掴んで、差し出してやる。そうすると少し驚いたようにこちらを見たものの、受け取って食べてくれた。我が食べやすい大きさ故、少々大ぶりなそれを口を必死に動かして食べてくれる姿はまるで栗鼠のようである。
「これ、私が作ったものでは……もしかして宗茂様が?」
「我だって、……少しは出来ます」
 貴君の足下にも及ばないけども、と付け足してから、彼女が作った食べ物にまた手を伸ばす。
「美味しいです。私とは違う味で…」
「喜んで貰えてよかった」
 にへら、と嬉しそうに笑っている彼女の頬に米粒が一つあったから、指で拭ってとってやって食べる。そうすると彼女は顔を真っ赤にして、こちらを見てくるではないか。我が子供扱いした所為で、拗ねてしまったのだろうか。
「……宗茂様…………?」
「あ、あの、我は決して貴君を子供扱いした訳ではなくて……!」
 あれ、なに言ってるんだ。別にやましい事なんて、していないのに。話している内にこっちも恥ずかしくなってきて、近くに置いてあったお茶を一気のみする。そうしたら気管に入ってしまって、思わず噎せる。ごほ、ごほと下を向いて丸まれば、彼女は心配したように背中を撫でてくれた。なんて優しい人なんだろうか。
「誰もそんな事、言っていませんよ宗茂様」
 少し待っていてください、と言ってから彼女はおかわりの茶を取りに出て行ってしまった。












えりばでぽっきー!
「? どうしたのだ兼続」
「あぁ石田殿。ちょっと渡したいものがありまして」
 赤い色をした箱を手渡される。表面には見た事もない文字が踊っていて、なにを示しているのかわからなくて固まっていれば、兼続のふふと笑みを浮かべてきた。
「ぽっきー、と呼ばれる甘味のようです」
「甘味、」
 じゅる、と唾液が口の中に溜まっていく。甘いものに目がない自分としては、嬉しい貰い物である。どう開けていいのか苦戦をしていれば、兼続に箱を穫られてしまった。
「兼続。……くれたのではなかったのか」
「石田殿が開けるのに、苦労しているからいけないのでしょう。ほら、これで食べれますよ」
 ぱき、と紙製の箱の上部を取り外し、中にある銀色の袋を破けば、一帯に甘い香りが広がった。貰おうと手を伸ばすが、ひょいと後ろ手に回して隠されてしまった。
「なんだ、まだくれないのか」
「いや、食べ方に少しルールがありまして」
「フン……守るから早く寄越せ」
「ここでやると反感を買いますね……仕方ない、場所を変えますか」
「なんだそれは、可笑しいではないか! って、ちょっと待て兼続!」
 腕をひっつかまれて、俺の屋敷へ一直線だった。制止もまるで訊かなくて、落ち着いたのは手短な部屋に着いた時であった。
「食べたかったんじゃ、なかったのでは?」
「そ、それもそうだが、そんなに面倒な食い方をするならば止めていたぞ!」
「もう、いいですよ。早く座ってください」
 畳に向かい合って座れば、兼続は銀の袋から棒状の甘味を取り出した。まるで団子の串のような代物である、食べれるのか不安になるが甘い香りが食べ物だというのを証明してくれていた。
「はい、口を開いてください」
「? わかった」
 あ、と口を開けば茶色をした方を突っ込まれた。舌で舐めると酷く甘い味がする。美味しい。食べたい、と口を閉じようとすれば指を突っ込まれて閉じられなかった。
「にゃに、すりゅのだ!」
「……某が食べ始めてからにしてくださいね」
 そう言うと兼続は、俺の口に差し込まれたお菓子の反対側を口に銜えて、ぽりぽり音をたてて食べ始めたのだ。いつの間にやら閉じられないように挟まれていた指は取られており、ぱき、と折って一人で食べようとするものの、顔を腕で押さえられて動かせず。どう反応すればよいのか悩んでいる内に、兼続は菓子を食べきっていた。
「…………、離せ!」
 肩口を
どん、と押せば今度は離れてくれた。が、何故だか笑みを浮かべたまま、部屋から出て行こうとしなかった。
「もう一本、食べますか?」
「フン……美味かったから貰うが、普通に食わせろ」
「普通? あれが、普通らしいのですが」
「あれのどこが普通だと言うか!」
「あれ? ちゃんと言って貰わないと某にはわかりません」
 相変わらずの表情のまま、兼続はもう一本新しい菓子を出していた。
「………な、なんでお互い口に銜えながら食べなくてはいけないのだ!」
「あぁ、そういう規則なんですよ」
「そんな訳な、おい兼続なんで一人で食べているのだ……って、そのまま寄ってくる、」
 ぱき、と細い菓子が折れる音と共に兼続の綺麗な顔がまたも正面にあって、綺麗だと見蕩れてしまったなど口が裂けても言えやしない。



2010/01/20
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