カーテンを開けると、起きたての身体にいっぱいの光が差した。
今日から始まる高校生活に胸を高鳴らせながら、パリパリの制服に袖を通して髪を整える。
キッチンへ行き朝食を作っていると扉からお父さんが入ってきた。


「よぉ、どうだ調子は。」

「もちろんバッチリ」


そう返事してコーヒーを出すと、お父さんは頑張れよと一言呟き朝食に手をつけ始めた。
3人分の食事を出し終えたところで自分も椅子に座りトーストにバターを塗っていると、妹の妹の名前も制服姿でリビングに入ってきた。機嫌が悪そうだが、しばらく続いている事なのであまり触れないようにしてコーヒーを差し出す。


「なんだ。まだ怒ってんのか。」


お父さん問いに肯定の意を示すように深く眉間に皺を寄せる妹の名前。
しばらく続く複雑な心境に私も疲れてきたので、そろそろ機嫌を直して欲しいところだ。
なんとも言えない表情を浮かべていると、妹の名前は私の制服を盗み見るようにこそっと視線をこちらに向け、寂しそうな声色で呟いた。


「本当に行くんだね。総北に。」

「そりゃあね。今日は入学式だもん。」


頭を撫でようとするも、プイッとそっぽを向かれて大人しく手を引いた。
妹はてっきり私の進路は箱根学園だと思っていたらしく、また、それが当然というように意識していたみたいで。受験前に少し一方的とも言える一波乱があった余波がまだ続いている。それは私を評価してくれているからこそのものだったが、こういった態度をとられると辛いものがある。
確かに箱根学園は高校自転車競技界の王者と呼ばれ、とても魅力的な学校だ。
しかし通うとなると必然的に寮生活になる。家事もあるし2人を残してなんて行けない。総北高校にも自転車競技部があるし、少し覗きに行ったことがあるが熱いチームだった。不服はない。

食べ終えた朝食の食器を片付け、制服を整えて玄関へ。
怒っているような表情を浮かべる妹と呑気にへらへらしてる父に向かって行ってきますと声を掛け、私は総北高校に向かって一歩を踏み出した。






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