昨日は色んな事があったけど、何よりツナと仲直りできて本当に良かった。
とても軽い足取りで学校に着くと門の先で二人が小突きながら歩いている。


『おはよ』

「葵、おはよう」

「はよッス葵さん!」

『あはは、名前呼びだ』

「心機一転!いいよな?」

『構わないよー』


そんなやりとりで朝はとても晴れた気分。
……だったのだけど。
今目の前でウロウロしている銀髪の子。今日一日ずっと近くに来ては睨まれていたのだけど、私が何かしたのだろうか?


『いい加減なにか話してくれないと分からないよ』

「チッ、こんなどこにでも居そうな女が10代目を守れるなんて到底思えねぇ。」

『んー……』


いきなり舌打ちされるなり、やっと喋ったものの内容は意味が分からずじまい。本当に困った。もうこのまま無視して立ち去ろうとしたら、指をクイっと動かす銀髪くん。面を貸せと小さく聞こえたのでついて行くことにした。
中庭についたと思えばそこにはツナ、武くん、それとリボーンくんもいて。


「ちゃおッス」

『久しぶりだね、リボーンくん』

「ちょっとリボーン、葵は山本以上に無理だって!女の子だし危ない目に合わせられないよ!」

「葵はとっくにボンゴレファミリーも同然だろ」

『銀髪の子といい、何の話なの?』

「これはその……うーっ……」

「マフィアごっこらしいぜ。仲間のことファミリーって呼ぶみたいなんだけど、そのボスがツナなんだとさ!」

『へぇー。ごっこ遊びくらい付き合うよツナ。』


先程銀髪くんの言ってた10代目ってのはツナの事だったのか。そしてその銀髪くんは獄寺くんというらしい。彼がどうも納得してないようで、入ファミリー試験というのが行われる事になり私達が呼び出されたという。
武くんもやる気満々といった様子だ。


「で、何すればいいんだ?」

「試験は簡単だ。とにかく攻撃をかわせ」


そう言ってリボーンくんが取り出した武器の数々。オモチャにしてはとても精巧に作られていて本格的。
スタートの合図が下りた途端、無数のナイフが私達を目がけて飛んできた。


「うおっ!」

『おっと、ギリギリ……!』


思ったより速度があり一歩目が遅れてしまった。そして最初こそ驚いたものの楽しそうに避けていく武くん。そして何故かツナも強制的に参加させられたようだ。
走りながらナイフをよく見て最低限の動作で避けていると、今度は先回りしていたリボーンくんがボウガンを撃ってくる。かと思えば、まさかの別方向からミサイルまで飛んできた。慌ててダッシュしたものの着弾地点は見事に爆発している。


『ちょっと待って、これって本物!?』

「だから巻き込みたくなかったんだーっ!くそーランボの奴まで!」


ランボというのが誰だか知らないけど、ツナが顔を真っ青にしていると最後の総攻撃が。ロケット弾にダイナマイト、そして先程のミサイルが一気に迫ってくる。流石に慌てた武くんがツナを引っ張っていくのが見えたので、自分も何とか軌道から外れた所に飛び込んだ。
土やら炭で汚れきったもののどうやら終了したようで、武くんがツナをかばったことで獄寺くんが満足げに駆け寄る。



「試験合格だ。お前達は正式にファミリーだぞ」

「女の方もまぁまぁじゃねーか」

『喜んでいいのかどうか……』


何だか凄い事に巻き込まれたのは確かだけど、このくらい賑やかなのも悪くない。少し焦げた制服と、横で盛り上がっている右腕論争を見ながらそう思った。






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