「討伐終了。もうここらのモンスターは一掃したでしょう、安心して下さいね」
「ありがとうございます!これで安心して外に出れます!」
「ふふっ、では失礼しますね」
小さく頭を下げてから後ろをついてきていた部隊に合図を送り、小さな町を出る。
初の任務は無事に成功。無駄とも思えるくらいにしてきた努力はどうやら無駄にはならなかったようで安心した。
「ファーストネーム様、お疲れ様でした!」
「後は私共で片付けます!」
「え、いいですよ。私も最後までお手伝いします」
「しかし……」
「お願いです、やらせて下さい。」
頭を勢いよく下げると、「わっ、分かりましたから頭を……!」と兵士達は焦ったように手を挙げた。先日着任した人も同い年だった事もあり、またこんな子供が と快く思っていない兵士達は多い。私は別に何を思われても良いが、全体の雰囲気が悪くなるのは避けたい。当面の目標は"仲間と認めてもらえる事"だな。
「我侭言ってごめんなさい。でも自分で出来る事は全部したいんです」
そう、出来る事は全て頑張りたい。
そして願わくばそれが誰かの笑顔に繋がれば……そう思う。それは私にとって、とても嬉しい事だから。そう考えると、これが偽善という事なのかもしれない。自分の為のようなものだから。
報告書をまとめて陛下の下へと歩みを進めていたら、前方に華奢なシルエットが見えた。よく見てみれば、とても整った顔立ちをしている。だが男性のようだ。
何となくすれ違い様に会釈をしたら、ほんの一瞬だけ視線をこちらに向けて、すぐ行ってしまった。兵士ではなさそうな服装だったが。そこまで思考を巡らせたところで謁見の間まで辿り着いたので、報告に集中した。
「-----以上です。討伐も完了致しました。」
「そうか、よくやった。聞けばほぼ一人で殲滅させたそうではないか。」
「申し訳御座いません、団体での任務が初めてなので勝手が分からず……。次はしっかりと協調性をもって任務にあたります。」
「うむ。しかし、これでお主の力を兵士も認めたであろう。次も頼むぞ。」
「そんな……私の力量など、まだまだです。ですが頑張ります」
さて、そろそろ。と思った矢先にドライデン様から声を掛けられた。
陛下に頭を下げ、別室へ移動する。
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