私は勢いよく飛び出してすかさず金髪の男に向かった。大きく振り被り剣を思い切り下ろすと正面で弾かれる。あたかもこの男が目的のように、見せ付ける為にわざと大きく振り被ったのだ。ディムロスを返せと放った言葉も、本心ではあるが注意を逸らさせる為である。本当の目的は……


「レイドディサピアー!」


唱えたその一瞬、視界が奪われる程のまばゆい光が発生し、瞬時に相手の背後を取って首筋に剣を当てた。完全に捕らえたその相手は頬に汗を伝わせて小さく声を漏らした。


「う、嘘……この私が……っ」

「動かないで。直ちにソーディアンを手放しなさい。」


ルーティは自らの状況を理解して悔しそうに顔を歪ませる。それに気付き、もう一人の斧を武器に持った女性が私に襲い掛かるも背後からリオンが魔神剣を喰らわし気絶させ、金髪の男と再び剣を交えた。間もなくして金髪の男も倒れこむ。それを確認してルーティの後頭部に衝撃を与えて気絶させ、抱えた。


「呆気なく終わったね。」

『スタン!大丈夫か!』

『ルーティ、しっかりして!』

「フン、馬鹿共が。こいつらをダリルシェイドへ連行しろ。」


その一言でせっせと兵士達が準備を進めていく。捕らえた三人含め、全兵士を先に帰還させて私達は村に残った。
リオンはルーティの事を気にはしているが、憎めない相手ではないと話す。その事に安心していると彼が呟くものだから、苦笑してしまった。シャルはシャルでディムロスに何を言われるかと溜息ばかり吐いている。リオンはスタンを完全にのして、私も私で奇襲とは言えルーティを一瞬で捕らえてしまったのだ。いつもの陽気なシャルは、どこかへ消えてしまっていた。
まぁまぁと二人をフォローしていると、なんだか胡散臭い男が現れた。ウォルトと名乗ったその男は、リオンに媚を売るようにへこへこする。それに痺れを切らしたリオンが突き放すように用件を聞くと、どうやら報奨金が目当てのようだ。しかしリオンの態度に酷く怯えて、後日届けられるという言葉を聞いた後すぐに私達の前から消えてしまった。


『坊ちゃんどうしたんですか?急に機嫌が悪くなって。』

「昔からああやって僕に取り入ろうとする連中に囲まれてきたんだ。いい加減うんざりしているとシャルも知っているだろう。」

『ええ、確かにそうでしたね。けど、ああやって周りを遠ざけていては……』


すっかり機嫌を損ねてしまったリオンは帰るぞ、と言い放って歩き出した。まぁこの程度ならすぐに治まるだろう、と口を挟まずに私も足を進める。
案の定村を出た頃にはすっかり普段通りで、ディムロスとアトワイトの話を一緒に聞いていた。話が進み、二人の色恋話になるとシャルは如何に大変だったかを熱弁しだして、その荒い息が治まる頃にはダリルシェイドに到着していた。





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