アンが聖域の客人として滞在する事になって、せっかくだからと皆で食事をする事になった。
だが、俺達はまたそこで信じられない光景を目の当たりにする事になる。
ランチはデスマスク特製のパスタと、シュラ特製パエリアだった。
ちなみにこれは、アンが海賊でシーフード的な物ばかりだろうから食べ慣れているものが良いのではないかと言う二人なりの気遣いのようだ。
「うわーっ、超うまい!!うちのコックの料理も美味しかったけど、こっちのが断然うまーっ!!」
「そうだろそうだろ。俺様のメシをそこらのと一緒にしちゃいけねぇぞ。」
デスマスクがニヤリと笑うとシュラも満足そうに口角をあげていた。
その場にいた他の皆も、アンの心からの笑顔にホッとしてたその直後。
ゴシャッ!!
と言う、聖闘士名(迷)物・顔面落下の時のような変な音が聞こえて、全員がバッとそちらを見ると、なんと…アンがフォークを持ったまま突っ伏していた!!
もちろん、隣に座っていたサガとシオン様が一番驚いているのだが。
何しろ、なんの前触れもなく突然なのだ。驚くなと言うのが無理な話と言うものだろう。
「お、おい。アン!どうしたのだ!?」
シオン様がアンの肩を揺すると、彼女はまたしても突然ムクリと起き上がって辺りをキョロキョロ見回すと、『……しまった、寝てた。』ととんでもない事を平然と言ったのだ!!
「ね、寝てただと!?そんな食事中に寝るなど…」
「うーん、うちの一族はみんなあるんだよねー。何故か私達とは血が繋がってないはずのルフィとガープじいちゃんも同じ癖があるんだよー。」
だから気にしていないでと、あっけらかんと言って何事も無かったように食事を始めたアンに俺達はポカンとしてしまった。
いや、もうコイツには呆気にとられる事ばかりだ。
その身体能力もそうなのだが、なぜ食事中に突然寝るなんて事が出来るんだ!?
だが、気にしたところでどうにもならんから諦めることにした。
「あー!お腹一杯!ご馳走さまでした。」
アンは礼儀正しく掌をパンっと合わせて料理を作ったデスマスクとシュラに挨拶をした。
「おう、お粗末さん。なかなか良い食いっぷりを見せてくれた上に美味かったなんて言われたら作った甲斐もあるってもんだ。なぁ、シュラ。」
「ああ。お前さえ良ければまた作ってやる。」
珍しくシュラが目元を綻ばせて優しく接しているな。
まぁ、アンはシュラよりも年下だし、髪色なんかも同じ黒だし、何よりアンはいろいろと苦労してきたのを目の当たりにしたのも手伝って、アイツなりに情が湧いたのだろう。
「ところでさ、アンの世界ってどんななんだ?」
「ああ、そうだ。こちらに来た時に『グランドライン』と言ったが、それはこことはやはり違うのだろうか?」
ミロの質問にカミュも気になっていた事を聞き始めた。
するとアンは目を輝かせて自分のいた世界の説明を始めたのだが、聞いていたら相当スケールのデカい世界だと思わずにはいられなかった…。
「グランドラインは本当に何が起こってもおかしくない海なんだよ!
まずね、島によって気候が違うんだ。春島は一年中春だし、冬島は一年中冬だから雪が降ってるんだよ。」
「では、四季はないと言う事なのですか?」
「そうだねー。グランドライン以外の海にある島はちゃんと四季があったよ。ただ、あそこは別なんだ。
あとね、海には海王類って言う超巨大な魚?とかがいるんだよ!!釣るのに二人とか三人がかりで釣るの!」
そんなデカい魚がいるのにも驚きだが、まぁあんなデカい人間がいるんだからおかしくはないのか……。
アンの記憶で見た人間達はいろいろなタイプがいたのだが、身長が高い奴、頭が異常にデカかった変な恰好をした……オカマ?に明らかに人ではない、半魚人みたいな奴に悪魔みたいな奴など様々だった。
「私達白ひげ海賊団がナワバリにしていた魚人島はね、海底一万メートルのところにあって、人魚とか魚人が住んでるんだよ。
それとか、私は行った事がないけど、はるか上空には空島ってのもあるんだって!」
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