カラフルフル! | ナノ


▼ 無意識に通じあってるような銀時と妙

(銀妙?)





池のほとりにしゃがみこんだ二人の男女。

「いくら?」

銀時が隣の女を見やり、親指と人差し指で丸の形を作る。

「・・・見つけたらお金頂戴ね、ってことですか」
「おねーさん、話早いね」

へらっと笑った銀時に、妙はむうっと眉をひそめた。
数日続いた雨の後、久々に庭へと出てみたら池の水かさが増していた。水も濁り、中はよく見えない。それを見ている最中に、つけていた簪を落としてしまったのだ。とぷん、と跳ねた水滴。妙があっと思った時には既に水の中へと沈んでしまっていた。初めて貰ったボーナスで買った、お気に入りの簪。

「・・・お金じゃなくて、お菓子なら風呂敷いっぱい差し上げます」
「はい決まりー」

甘党男はそれで納得したのか、よっと勢いつけて立ち上がる。

「おら、いくぞ」
「え?」
「お前も探すんだよ」

銀時は妙の肩を軽く押し、自分はなんの迷いなく池の中へと入っていく。じゃぶじゃぶと進む銀時の着物が濡れる。跳ねた水が妙の頬を掠め、肌を湿らせる。

「二人で探した方がはえーだろうが」

池の真ん中で両腕を水に突っ込みながら銀色の髪が振り返る。しゃがんで池の底を探る男はずぶ濡れだ。

「銀さん」
「あー?」

とぷん、と女の爪先が水に沈んだ。

「私が先に見つけたら、アイス奢って下さいね」
「嫌にきまってんだろ」

濡れることなどお構い無しに入って来た妙を見やり、銀時は鼻で笑う。

「お前が落としたもんお前が拾ってなんで俺が奢んだよ。濡れ損じゃねえか。お前が奢れ」
「銀さんが急に現れるからびっくりして落としちゃったんですよ」
「そんなとこに突っ立ってる方が悪いんだよ。あーくそっ、こっちはねえな」
「こっちもないですね」
「お前潜ってみれば?」
「銀さんが潜れば?」
「嫌ですー」
「私だって」

ばしゃばしゃと、両手で池の底をさらう二人はびしょ濡れで。不満を漏らすようなやり取りを交わしながらも、その横顔はどこか楽しげだった。


水面
2014/12/01

通じ合ってる・・・?いや通じ合ってる!ちょー通じ合ってる!!
銀さんに白や水色やシルバーのイメージがある方が多く、そこに姉上が加わると柔らかな印象になるんですよね。揺れる水面が頭に浮かんだので、水をテーマに書いてみました。
書き始めた時は銀さんだけが水に入るという流れを考えてましたが、書いているうちに銀さんが姉上にも行くぞって言ってました(笑)
でもなんか、これが私の思う二人だなあと。で、私なりの無意識に通じあう夫婦のような二人ってこんな感じだなと。
晴れた日に二人でずぶ濡れになりながら落としたものを探してる。口では色々言いながら、でも表情はどこか楽しそうな二人。
この絵が浮かんだ時、なんて幸せで暖かい光景なんだろうと、ちょっと泣きそうになったのは秘密です(笑)

prev / next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -