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※学パロ、幼馴染み




「嫌だ」

頑固な幼なじみの言葉に、妙は小さく溜め息を吐く。

「トシくんのバカ」
「なんで俺がバカなんだよ」
「傘は一つしかないのに、ワガママ言うから」
「自分の傘をどう使おうと俺の勝手だろ」

1つ年下の幼馴染みが、フンと腕を組んだ。その可愛いげのない喋り方が似合うくらい成長した幼馴染み。あんなに小さかったのに、今では妙の身長を越してしまった。

「可愛くなーい」
「男が可愛いとかねえだろ」

不満顔で青い傘をくるくると回していたら、軒下で口をへの字にする幼馴染みに怒られた。

「おい、俺の傘大事に使えよ」
「してるしてる」
「二回言うな」
「じゃあ私にも二回言わせないでよ」
「はあ?」
「怖い顔しても怖くないからね」

突然降りだした雨。しっかり者に見えて抜けてる妙は傘など持っていなかったが、取っ付きにくそうに見えて世話焼きな幼馴染みはバッチリ傘を持っていた。

「なんでトシくんの傘を私がさして、トシくんは濡れて行こうとするのよ」

幼なじみは妙に自分の傘を差し出し、なぜかそのまま一人で行けと告げたのだ。

「一緒に行こうよ。濡れちゃうよ。同じ学校だし、何も困らないじゃない」

妙がいくら言っても、頑なに拒む幼馴染み。理由は分かっているのだ。

「相合い傘くらい普通でしょ?見られたっていいじゃない。私とからかわれるのがそんなにイヤ?」

その見た目からモテモテな幼馴染みだが、本人は真面目で女の子の扱いには慣れていない。どちらかといえば面倒だと思う方らしく、騒がれるのは好きではないようだ。

「お前と登校してるだけでうるせーのに、これ以上はめんどくせえんだよ」
「私と行くのが面倒ならそう言えばいいのに」
「だから、そうは言ってねえだろ。意味違うし」

イライラしているのは分かる。他の人はこういう時の幼馴染みを怖がるらしいが、妙にしたら何が違うのか分からない。拗ねているだけじゃないと思うのだ。

「大丈夫よ。相合い傘くらいで恋人同士だなんて思われないって」

幼馴染みが気にしていることは結局これだ。

「そう思わねえヤツがいるんだよ」
「じゃあもう本当にしよっか」

にこっと笑った妙に幼馴染みは驚いた顔を見せる。妙だって、毎回些細なことで自分から離れていこうとする幼馴染みが面倒なのだ。

「私とトシくんは今から恋人同士、彼氏と彼女です。だから相合い傘で登校するのは当たり前で、たまに手も繋いじゃったりします。ね、いいでしょ?」
「そんな簡単に決めることじゃねえだろ」
「だって遅刻しそうなんだもん」
「理由がそれかよ」
「あら、私本気よ?」
「だから、付き合うとかはこんな軽い感じじゃなくて、ちゃんとした流れがあって決めるもんだろ・・・」
「じゃあ待ってる」

ついに絶句した幼馴染み。妙は顔を綻ばせ、青い傘をくるりと回した。



あと一週間時間を下さい。ちゃんと好きだと告げるから。
2014/08/11

幼馴染み土妙でトシくんが1学年下です。
前から書きたいと思っていた二人なので書けて嬉しかったです。
このトシくんは妙ちゃんが大好きです。妙ちゃんもトシくんが大好きなので両思いですが、まだ付き合ってない二人。

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