2929アンケ記念! | ナノ



※銀妙夫婦で絡み有り



欲望は際限ないなって実感する。例えば嫁さんを抱いているとき。それだけで幸せだったはずなのに、中に入るだけじゃ満足できなくなって、いっそ食えたらいいのにと泣きたくなる。
そこだけじゃなくて身体中全てに入り込みたい。侵したい。暴きたい。
どうしようもない衝動に頭がおかしくなりかけて、でも優しく甘やかしたいから自分の欲を抑え込む。
その繰り返し。




「誕生日プレゼントねえ・・・」

渡された小さな紙に目を通す。いくつか書かれた物は全て俺が欲しいと言っていた物だ。

「これ欲しいって言ったっけ?」

中の一つを指差した俺に妙はにこりと微笑む。

「お登勢さんから聞きました。前に欲しいって愚痴ってたって」
「そういや言ったかも」
「言ってたんですよ」

くすくすと口元に手をあてて、嫁さんは可笑しそうに肩を揺らした。
妙が俺に誕生日プレゼントとやらをくれるらしい。好きな物を一つ選んでと紙を渡された。こういうのは秘密にするもんじゃねえのと言ったら、それはまた別にあるのだと笑った。
妙は俺に甘い。俺も妙に甘いから何とも言えないが、多分中身は全く違う。それは男と女の違いだろうか。

「なんでもいーの」
「はい。それ以外で欲しい物がありましたら教えて下さいね」

あまり高いのは駄目ですよ、と釘をさしてくる妙に申し訳なくなる。俺が今一番欲しいのは金なんかじゃ買えやしない。

「なんでもいいなら、すっげえやらしいこと頼んでいい?」

頬杖をついて、表情一つ変えずに願望を口にした。妙の返事はない。でも嫌がってはいないと思う。妙は俺に、結局は甘いから。

「この前したことよりやらしいことってなんだろうな」
「それは、」

妙が困るって分かってるのにこういうこと言ってしまう。反省もするが、正直満たされる気持ちもあった。妙がこんな顔するのは自分の前でだけっていう優越感。自分は色んな女を抱いてきてるのに、妙には全て初めてを強いてしまう。最低な旦那だな。気付かれてなきゃいいけど。

「どういうことしてくれる?俺のためにやらしいことしてみせてくれる?」

キスすら恥ずかしそうに目を伏せて、裸になることにも慣れちゃいない。そんな嫁さんに俺は何をさせようとしてるのか。
手の中にあった小さな紙に目を落とした。妙が一生懸命考えてくれた俺へのプレゼントの品々。綺麗な文字を眺めていたら自然と口元が緩んでいた。

「あんまり伝わってねえだろうからはっきり言っとくけど」

きちんと並んだ文字をなぞっていく。これを書いているとき、俺を想ってくれたのだろうか。

「こういうことして貰ったことねえからすっげえ嬉しかった。ありがとよ」

照れ臭いから目を逸らし、丁寧に折り畳んだ紙を「後で一緒に選んで」と懐にしまう。ただの紙なのに、なぜか温かく感じた。

「───これも嬉しいけど、お妙を抱くのも嬉しい。そう思ってるの俺だけじゃねえよな」

俺は微かに頬を染めた妙を眺める。赤い頬。舐めたい。ついでに舐めてほしい。俺が妙を食べられないのなら、妙が俺を食べてくれたらいいのに。

「やらしいことしていい?」

伸ばした手のひら。この手を握ってくれるだろって、当たり前のように信じてた。




痛い思いなんてさせたくないのに、少しだけ痛みを与えたくなる。しゃぶってふやけた乳首に歯をたてると、妙の身体がビクりと揺れた。中がきゅうっと締まり、挿れてるだけでイキそうになる。

「痛いの好き?中くちゃくちゃしてる」

顔を火照らせた妙がうわ言のように首を振る。可愛い。もっとぐちゃぐちゃにしたい。全部溶けたらいいのに。飲み干したいから。

「声我慢してる?もっとしてろよ。我慢してる顔見たい」

中に入ってたのをズルリと引き抜いて、妙の上に覆い被さった。半開きの唇を食べ、濡れた股の間をまさぐる。割れ目の中にあるぷくりと膨れた小さな肉を指先で弄った。唾液と共に掠れた声が口の端から垂れていく。さっきまで自分が入っていた場所にも手を伸ばし、ぐちゅりと指を突き入れた。妙の背中が反ったのを押さえ付けるように口づけ続ける。くぐもった声が漏れ、自然と腰が動き始めていた。

「かーわいい。声は我慢できるけどキモチイイのは我慢できねえよな」

我慢できないのは自分も同じだ。指を抜いて、妙の脚を開かせる。濡れた股の間にあてがった性器の先から透明な液体が垂れていて、自分も限界が近いのだと知る。

「もう一回挿れるから」

返事を待たずに腰を押し進めていくと、妙と俺の肌がピタリと重なった。性器の全てが妙の中で包まれる。ゆっくりと動かせば、妙の手が俺の肩を強く掴んだ。食い込む力が痛くて心地いい。

「噛みたい?いいよ。俺も後で噛ませてな」

妙の尻を持ち上げ、より深くにと角度を変えた。ぐちゅぐちゅと締め付けてくる肉の壁。妙に噛まれた肩が痛くて、荒い息遣いの中、ふっと笑った。

「すっげえキモチイイ」

目に垂れそうだった汗を軽く拭う。

「やばいかも、もう、イキそう」

動くたびに気持ちよくて、もうこのまま死ねたらいいのにと馬鹿なことすら考えてしまう。セックスにハマるってこういうのだろうか。分からなくはない。

「あーイきたくねえ、このまま朝まで挿れときたい」

思わずでた本音に、首筋にあった妙の頭が揺れた。笑ったのだと分かったら、なぜか顔が見たくなる。
目が合って、眦が溶けた。幸せそうな笑顔は、こんなにいやらしい行為の中でも綺麗なままだった。火照った肌も荒い息遣いも何もかもが綺麗で、全てが俺の欲を刺激してくる。

「っ、銀さん」

耳元で名前を呼ばれただけで、ぞくりと快感が全身を走っていく。

「・・・誕生日、おめでとう」

欲望は際限ないのに、妙は俺に与え続けてくれる。幸せすぎて泣きそうになる。

「優しくねえ旦那でゴメンな」

妙に甘い俺は、結局嫁さんの嫌がることなんか出来なくて。

「そのままの、銀さんがいいんです」

俺に甘い妙は、俺を拒絶なんてしないから、言われるがままされるがまま、俺を甘やかしてしまう。

そんな幸せな誕生日の出来事。



幸せにしてね?
幸せにするから
2013/10/10

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