妙誕カウントダウン!! | ナノ
12、長編坂田と沖田と南戸+妙
※下ネタあります
※姉上は話題のみ登場



「沖田、と坂田か。珍しい組み合わせだな」

何となく訪れた屋上に先客が居た。南戸に対して態度のでかい後輩は多々いるが、その中でも群を抜いて扱いづらい二人だ。漫画を読んでいた坂田が顔を上げる。

「なに?ギャラリーいるとヤれねえって?」
「言ってねーよ」
「屋上はラブホじゃねえですぜ」

どうやら自分のイメージはどこでもヤる男らしい。全て嘘だとは言えないだけに否定しづらいが、常識くらいはわきまえている。

「どいつもこいつも俺が女とヤッてばっかだと思いやがって」

不満げな南戸だが、その不満が坂田にも沖田にも伝わっていない。

「つーかセンパイからセックスとったら何が残んの?主成分チンコだよね」
「南戸といやあチンコだからねィ。仕方ねえですぜ」
「仕方なくねえしチンコじゃねえよ」

愚痴る相手を間違えた気がする。誰が最適かは分からないが、確実にこいつらではない。

「お前らな、俺を何だと思ってんだよ」
「歩く顔面チンコだったかねィ」
「全身チンコじゃね?多分」
「ああ、それですぜ。多分」

南戸の愚痴も二人にとっては暇潰しでしかない。噂されているのは正確には顔面男性器、もしくは全身男性器だ。それでさえもストレートすぎてアレなのに、坂田と沖田にかかれば余計に酷くなっていく。こいつらが面倒なタイプだということを南戸はすっかり忘れていた。

「じゃあお前らはどうなんだよ」

このままだと面倒くさいことになりそうなので逆に質問する。

「お前らは最後にヤッたのいつ?」
「あー、去年?」

あきらかな嘘。沖田に至っては興味なさそうに欠伸をしている。この二人はあまり自分のことは喋らない。女っ気があるのかさえ分からないが、坂田も沖田もモテるタイプだと南戸は思っていた。中身は問題ありだが、外側だけを見て惚れる女は後を絶たないのではないか。現に二人を紹介してくれと南戸に頼む女は多かった。

「そういや、お前ら連れて来たら良いことあるかもって女の子が言ってたねえ。坂田はどうする?」
「えーめんどくさ。俺らとその子で4Pでもすんの?無理だわー」
「なわけねーだろ。沖田は?」
「そういう女はチンコセンパイが責任もって食ってやったらどうですかィ」
「おい、沖田。そのチンコセンパイってのは俺か?俺のことか?」

この二人に何を話しても、のらりくらりとかわされてしまう。掴み所がないのが共通点だ。興味のないことにはとことん反応が薄いし酷い。
そんなマイペースで可愛くない後輩とだらだら過ごしていたところ、南戸の携帯が鳴った。  

「───なあ、坂田」

目線はメールに向けたまま訊ねる。

「志村ちゃん、アイスとかどう?」
「はあ?」

意味が分からなかったらしい。坂田が眉根を寄せる。

「アイスは好きかって訊いてんだよ。同じクラスで仲いいんだろ。志村妙ちゃん」

その名前を口にした時、後輩二人が興味を示したのが分かった。それが意外で、つい二人を眺めてしまう。

「姐さんとどういう関係ですかィ」
「姐さん?ああ、そういや姐さんって呼ばれてるって言ってたな。関係たって、うちのお嬢さん繋がりだとしか言えねえけど」

南戸が通う道場の跡取り娘と妙が幼馴染なのだ。そのため、妙と同じ高校に通う南戸は何かと用事を言いつかっていた。

「今日、うちのお嬢さんがその子と一緒に甘いもん食いに行くからってメールがきたんだよ。この近くでアイスかケーキの美味しい店教えろってさ」
「それで志村がアイス好きかとか急に訊いてきたってわけか」
「そうそう」
「年中女と遊んでる南戸センパイなら女が好きそうな店も知ってるしねィ」
「そうそう」

もう何とでも言ってくれ。とりあえず妙の好物が某アイスクリームだと知れただけで充分だ。後は店を調べて連れて行くだけ。

「お前らってさ、あの子のことだと一応興味もつんだな」

メールを返信し、携帯をポケットにしまう。

「お前らこそどういう関係なんだよ」

南戸の言葉に坂田が「関係・・・?」と呟く。

「ゴリラが殴られたり蹴られたりしてるのを見てる関係とか?」
「俺は姐さんからそのゴリラを受け取って連れて帰る関係かねィ。今日も朝から受け取ってきやしたぜ」
「もういい、お前らと会話しようとした俺がバカだった」

南戸が呆れた声を出す。二人が志村妙に多少興味があるとういうことが分かったが、だからといってこいつらのマイペースっぷりは変わらない。
それはたとえ好きな女ができたとしても変わらねえだろうな、と何となく思った。
実際はどうだか知らないが、それは南戸には関係ないことだ。



『マイペース』
2015/10/19
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