▽ 九→妙で恋愛感情あり
「妙ちゃん」
僕がそう呼ぶと、妙ちゃんはにっこりと笑ってくれる。妙ちゃんの笑顔が大好きだ。昔からずっと、彼女の笑った顔を見るのが好きだった。
妙ちゃんをここから連れ出して、新八くん達が妙ちゃんを連れ戻したあの日。
あれから前と同じような親友に戻ったけれど、あのときからずっと聞きたいことがあった。
「妙ちゃんは、本当に僕と結婚したかった?」
こんなこと今更だと思う。過ぎたことだと昇華すればいいのに、僕にはできなかった。
「どうして結婚してくれようとしたのかな。僕は君が好きだから結婚したかったよ」
君は結婚を了承した。君が僕の傷に負い目を感じていることを知っていた。そこにつけこんだのは事実だ。どんな手段をつかっても君と一緒にいたかったんだ。
「妙ちゃんは、少しは僕が好きだった?」
親友への好意だけで女に口付けるほど僕は馬鹿ではない。親友では嫌だった。君に口付けて、君に触れたかった。親友では出来ないことをしたかった。
「親友としてじゃなくて。幼馴染みとしてじゃなくて。僕を柳生九兵衛として見てほしかった」
妙ちゃんは何も言わずに僕を見ている。ゆらゆらと揺れる瞳が僕をじっと見つめてる。妙ちゃんが僕を好きなことは知ってるよ。でもそれは、少しでも僕と同じ好きだったのかなってずっと考えてるんだ。
「僕と妙ちゃんは女だから夫婦にはなれないけど。子どももつくれないけど。それでも君とずっと一緒にいたい。親友だけじゃ嫌なんだ」
妙ちゃんの頬に触れた。あったかい。やわらかい。顔だけじゃなく身体も同じなのだろうか。君を抱き締めて寝てみたい。困らせごめんね。でも僕は今も君に口付けたい。君を見て、そんなことを考えてる。
「妙ちゃんが好きなんだ」
もしも君か僕が男だったら、君の好きと僕の好きは重なっていたのかな。もっと早く、もっと簡単に恋人になれていたのかな。新八くんも祝福してくれるような夫婦になれてたのかな。
「九ちゃん泣かないで」
妙ちゃんが僕の目尻に指を這わせる。泣いてないよと言ってあげたいのに、どうしてかな、上手く言葉がでてこないんだ。
九→妙
好き。九ちゃん好き。今でも九ちゃんと結婚すれば良いよと思ってる。九妙好きすぎてたまに九ちゃんにチンコないこと忘れる。
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