ワオ!2013妙誕記念アンケート! | ナノ


▽ ↑の山崎が不憫すぎて仲良しほのぼの山妙を書いた


姐さんと想いが通じ合えたのは奇跡だ。姐さんを好きになったと理解した時はあまりの無謀さに諦めるしかないと落胆したが、諦めなくて良かったと今は心底思う。
今日は久しぶりに会えた。だけど遠出する時間はなくて、近場の川沿いに咲く花を見に来ていた。それだけで充分楽しいし、なにより姐さんと二人きりで過ごせるのが嬉しい。
コスモスを眺めながら二人で川沿いを歩いていると、姐さんが小さな声を上げて立ち止まった。

「姐さん、どうしたんですか」
「あの、ちょっと足が」

ささやかな笑みと共に告げられた言葉。俺は目を丸くし、慌てて姐さんの前にしゃがみこんだ。

「怪我ですか!?そりゃ大変だ、どこ?どこを怪我しました!?」
「足首のところですけど・・・山崎さん、大丈夫よ。大したことないわ」
「大丈夫でも俺は気になるんです!姐さん見せて下さい!こちらの足ですか」
「あっ・・山崎さん!」
「へ?・・・うわあ!」

我にかえって驚いた。手も繋いだことないのに、姐さんの足を持ち草履を脱がせ、足袋にまで手をかけていたのだ。足を俺に持たれた姐さんはバランスを崩さぬよう俺の肩に手を置いている。

「すす、すみません!!」

最初の接触がこんなふうになるとは。頭の中で色々考えても実際は上手く進まない。今日こそ手を繋ごうと思っていたのに、手じゃなくて足首を握ってしまった。・・・この感触を忘れたくないとか思ったのは内緒だ。

「姐さん、あの」
「いいんですよ。倒れそうになったから声をかけただけで、その・・・嫌ではないです・・・」
「・・・・・・え!?」

顔を上げたら目が合った。俺は呆けた顔をしていたのだろう。姐さんは、ふふっと目を細めて笑った。頬が赤い。多分俺も。

「・・・姐さん、帰りましょうか。俺が送ります」

そっと優しく足首から手を離して、姐さんの草履を持つ。

「・・・そうですね」

姐さんが寂しそうに笑ってくれたのが嬉しかった。まだ帰りたくないって思ってくれたのが分かったから。

「姐さんそっちの草履もいいですか」

俺の肩に手を置いて片足を浮かせていた姐さんが何故?と視線で問いかけてくる。俺は肩にある姐さんの手をとり、素早く背中を向けた。

「おぶって歩いているときに草履が落ちるかもしれませんから。俺が持ってます」
「・・・でも、ここからだと家まで遠いですよ」
「じゃあ尚更歩かせられないでしょ。お願い姐さん、俺のワガママだと思って」

これでもまだ躊躇うようだったら有無を言わせず抱き上げて帰ろうか。そんなことを思っていたら、背中に柔らかな重みが乗った。温かい。背中も胸の中も。少しにやけそうになったのを誤魔化しつつ、俺はもう片方の草履を持ち、姐さんを背負って立ち上がった。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫」
「重くない?」
「俺の愛なら重いですよ」
「・・・そういう意味じゃないのに」
「あはは」

迷惑をかけているなんて思ってほしくない。姐さんのためなら何だって嬉しいって分かってほしい。

「今日は楽しいなあ」

特別な事なんてしなくていい。姐さんと一緒なら、帰り道ですら愛おしい。



山崎×妙
あまりにも前話の山崎が不憫すぎて勢いのまま書いてみた山妙。
実は書き終えた段階で一度全消ししてしまいました。私が不憫。
もう一度日を改めて書いてみたら全く別話になってましたが(笑)、でもこっちの方が幸せ感が強くて好きです。

これ、読み返して思ったけど、この幸せな二人が神威によって引き裂かれてしまった・・・とも読めなくはないなと。止めよ、それはあまりにも不憫すぎる

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