06/20 課長夫婦ハミガキ編
突発的課長夫婦(土妙)
「妙、あーん」
土方が洗面所の鏡越しに自分の前に立つ妙を見ながら口を開けた。
男の手にはピンクのハブラシ。歯磨き粉もちゃんとついている。
妙は戸惑う視線を鏡に映る土方に送るが、土方の表情は変わらない。
「あーん」
もう一度、妙を見つめながら繰り返す。
観念したのか、妙は唇をきゅっと噛むと、おずおずと口を開いた。
その姿に土方は目元を和らげる。にこにこと嬉しそうに「上手にできました」と囁くと、持っていたハブラシを妙の口の中に浅く突っ込んだ。
「奥歯からな。じっとして」
「ん」
拙い返答に尚更表情を緩めると、ゆっくりと優しくハブラシを動かし始めた。上下に左右に、それはもう丁寧に磨いていく。次第に増えていく白い泡からミントの香りがした。
「あわ。あわ」
妙は口元を指差しながら上目遣いで土方に何かを伝える。どうやら泡が口から零れそうだと伝えたいらしい。
「いいから。そのまま零しちまえ。後で風呂に入ればいいだろ?それも洗濯すればいい」
上の奥歯を磨きながら土方は事もなげに言った。むしろそれを狙っていたかのようだ。
「三回連続じゃんけんで勝ったら妙の歯を磨いていいって約束だろ?泡もオプションだ」
そう言って、妙の口の端から垂れた泡を指で拭った。
ピンクのハブラシは白い泡で溢れた咥内をグチュグチュシャカシャカと動き続けていた。
妙はやはり気になるのか、何度も口の端を指で触る。
「・・・そんなに垂れるのが気になるなら、続きは風呂の中だな」
一気に頬を朱色に染める妙に、土方は満面の笑みを浮かべた。
(終われ)
嫁の歯を喜々として磨く課長。
ヘンタイにも磨きがかかってます。
ほんとすみません