日記妄想つめあわせ | ナノ

 10/31 男と妙


「好きです、と告白されました」

女が、話の合間にそう言った。
本当に普通に、さりげなく言ったので、俺はただ簡単な相槌をうつのみだ。
女の色恋に首を突っ込むほどの関係ではなかった。特別な間柄でもないのに、それ以上の追及は無用だろう。
だから、このまま流しても良かったのだが、なぜか女の言葉が心の端っこに引っかかってしまい、なんともいえない気持ち悪さと居心地の悪さを感じていた。
俺は視線をゆっくりと動かし、女に焦点を合わせる。女は慣れた動作で縫い物をしていた。いつも通りの澄まし顔。
俺は思う。
女は、なぜ言ったのか。
俺は、なぜ気になるのか。
知らない仲じゃない。だが、親しいというほどでもない。話が合う?そんなこともない。友人ですらない。なのになぜ、と。

「どうなさったの」

再び焦点が合うと、女が俺を見ていた。声をかけたのは女からだったのに、なぜか俺よりも女の方が驚いてるように見えた。思えば、こんなふうにじっくりと視線を合わせたこともなかった。

俺はつい、本当に無意識に、女が誰かに言われたであろう言葉をなんの考えもなく、ぼんやりと女を見つめながら言っていた。
言ったあとで猛烈な後悔が襲う。
何を言った?馬鹿か俺は。女を特別な目で見たことなど、そんな感情を抱いてなどいなかったのに。
俺は腰を上げた。内心の焦りが滲み出る前に立ち去るつもりだったが、女が俺を呼んだので振り返る。
女は俺を見ていた。
そしてはっきりとした口調で、「それは、存じ上げてますよ」と。
それだけ告げて、女はまた視線を落とし縫い物を始めた。先ほどと違うのは、女の口元にほんのりと笑みが浮かんでいることだろうか。
俺はなんとなく女から目線を逸らし外を見た。風がびゅうと吹き、色付いた葉が舞っている。
それを眺めながら溜め息を吐き首の後ろを掻いた。
ようやく理解した。
なんてくだらない。
なんてめんどくさい。
自覚はなかった。
でも自覚してしまった。
もう一度溜め息を吐く。
どうやら俺は、そこに居る志村妙という女が、たまらなく好きなようだ。


(終わり)


※この話、分かりづらいですよねー。もう少し上手く書きたかったのですが私の限界です(笑)
姉上が誰かに好きですと言われて、それを男に告げたら男がぐるぐる考え込んで。答えを出す前に姉上の顔を見てたらポロっと「好きだ」と告げてしまった。という話なんですが・・・・分かりにくいっすねえ。修行や!



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