日記妄想つめあわせ | ナノ

 04/08 俺とジャスタウェイ(坂田)


久しぶりに見たアイツは笑ってた。
初めてみた表情に、一瞬人違いをしたのかと思う。
しかし、あの目立つ容姿を見間違えるはずもない。
それでも俺はアイツじゃないと思った。
あの無感情な瞳に映るのは無機質ないつもの景色。
飽きるほどに見たそれを、アイツは愛しそうに見つめていた。
躊躇いながらも声をかけるが返事はない。
響くのは機械音と俺の声。
アイツは振り向きもせずに笑ってた。
俺にはそう見えた。
何も言えなかった。
響くのは機械音だけ。

背後から近付く足音に、俺もアイツも反応する。
背筋に電流が走るかのような恐怖に襲われた俺に、アイツは確かに笑った。
本当に笑ったんだ。
動きもしない口端歪めて。

柔らかさを感じられないアイツの身体を眺める。
幾度となく触れた身体の感触がいまだに残っていた。
俺はアイツの首を掴む。
できるだけ優しく。
掴んだ手に力を込めた時、もう一度だけアイツの顔を見た。
絡まる視線。
響くのは機械音と涙声。
透明な滴が光って堕ちた。



「坂田くん!ジャスタウェイは見つかった?」
「ん、ああ、ここに。」
「良かった!最後の一つがないと出荷できないところだったよ!!」
「良かったすねー。あ、やべまた鼻水が…。」
「風邪か?気を付けて…。んー?ジャスタウェイにネバネバしたのが付いてるな…。」
「じゃ、俺早退しまーす。ああ鼻水とまんねえなあ」
「てめえ、待ちやがれええええ!!」
「あっ!見つけた!!坂田あああ!箱詰めしたジャスタウェイに鼻水かけたのお前だろああ!!!」
「…バレた?」
「当たり前じゃああ!!」

俺は迫りくる強敵をかわしながら、どうやってこの場をきりぬけようかと考える。神楽や新八や米や金や糖分が頭の中を駆け巡る中、視線を向けた。
いつもと変わらぬ無表情。

やっぱり笑うわけねーや。

そう呟いて俺は笑った。

「俺とジャスタウェイ」


※これバトンで書いたのです。


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