06/25 学パロで志村姉弟
学パロで志村姉弟
「あれおまえの姉ちゃんじゃね?」
ある日の昼休み。友人が指差した方に視線を向けると、確かにそこに居たのは新八の姉である妙だった。
「あいかわらずカワイーし。やっぱ風呂とか覗いたりしてんの?」
「す、するわけないじゃん!覗いたりとか!」
と、若干の後ろめたさを感じながら友人とわいわいやっていると、その声につられたのか妙がこちらに気付いた。
「新ちゃん」
距離があっても妙の声は新八の耳に届く。にこりと笑った妙はそのまま新八のところ駆け寄ってきた。笑顔でこちらに来る妙に友人のテンションが上がっているのが地味にウザイ。しかし姉が褒められるのは弟として嬉しいことだ。正直自慢したい。そこをグッとこらえ、新八は妙に手を振り返した。
「良かった。探してたの」
「僕を?」
「そう。新ちゃんを」
友人とも軽く挨拶を交わした妙が唐突に話を切り出す。妙は新八を探していたらしい。
「何か用ですか」
「うん。すぐに済むから、ちょっとついてきてほしいんだけど・・・」
「行ってくりゃいーじゃん。なんかしんねーけど」
友人に促される前に元々断るつもりもなかったので気軽に了承する。ついて行くくらい何でもない。
どこかで昼寝するという友人と別れ、妙とともに校舎へと向かう。目的地は妙のクラス。つまり上級生の教室だ。顔見知りが多いとはいえ上級生の教室に行くのは緊張する。
「それで、なんで僕が行くんですか」
わざわざ探してまで新八を連れて行くのだ。何か重要なことがあるのではないか。そう訊ねれば、妙がふふっと笑った。
「そんなに緊張しないで。みんなに見てもらうだけだから」
「見てもらうって、何をですか」
「新ちゃんを」
意味が分からなくて「は?」と立ち止まる。それに気付いた妙が不思議そうに振り返った。
「どうしたの?」
「僕を姉さんのクラスの人に見せるんですか?」
「クラスメイトだけじゃないけど、そうよ?」
「なんで?」
「なんでって・・・」
と、妙がおもむろにポケットから折りたたまれた紙切れを取り出した。
「暇だったから借り物ゲームしてるの。これが私ので・・・」
話しながら、ゆっくりと紙をひらいていく。
「これって新ちゃんのことでしょ?」
はい、と差し出された紙切れに目を落とせば、新八の耳が徐々に赤くなっていく。
「新ちゃんが同じ学校で良かったわ」
なんて、何事もなかったかのように微笑む妙に、新八は照れたように笑うことしかできなかった。
おわり