日記妄想つめあわせ | ナノ

 04/22 友人的な沖田と妙


友人的な沖田と妙。




一番最初に浮かんだのは弟の顔だった。新八ならどんな反応をするだろうか。
次に浮かんだのは親友である幼馴染みと妹のような女の子。
それぞれの顔を思い浮かべて、妙はふふっと笑った。
姿見の前でくるりと回る。髪型も着るものも普段とは違う姿。自分でいうのもなんだが、そう悪くはない。この姿を誰かに見せたかった。浮かんだ顔以外でもいい。知り合いなら誰でもいいかもしれない。家を出て、一番最初に会った知り合いにこの姿の感想を訊いてみたい。
そう思い立ち、妙は 幾分か軽い足取りで玄関へと向かった。




「沖田さん」

黒い隊服の男は立ち止まり、声のした方を向く。
声の主を見やればいつもの無表情が僅かに怪訝なものとなり、次の瞬間、ハッと目を見開いた。

「姐さん?」

まだ疑うような沖田の声音に、妙はにっこりと笑って頷く。

「当たり。やっぱり分かります?」
「いや、パッと見は別人ですぜ。誰かと思った」
「じゃあ大成功ね」

くすくすと笑う顔は妙そのものだ。だが、見た目の雰囲気は全く違う。

「イメチェンですかィ」
「お店のイベント用ね」

ああ、と沖田が納得したように軽く頷いた。なるほど、あの店ならこんなことをやってもおかしくはない。

「結構似合ってやすぜ」
「ふふ、ありがとう」

似合っていると言われ、妙の顔が綻んだ。一番最初に会ったのが沖田で良かったと思う。普段から話すわけではないし特別親しいわけでもないが、女を喜ばせる嘘を吐くような男ではない。なので先ほどの台詞も本音なのだろう。嬉しくて、妙はまたふふっと笑った。

「お仕事中に呼び止めちゃってごめんなさいね」
「もう上がりなんで、気にしねえでくだせえ」
「あら、じゃあ今からお昼?」

もうすぐ正午になる。

「まだなら一緒にどうですか」
「俺と?」

沖田が少し驚くのも無理はない。お互いに悪い感情はないものの、だからといって親しくしているわけでもない。はっきりいって関わり合いがないのだ。それなのに二人で食事。

「なに食いやすか」

沖田が思案したのは一瞬で、簡単に答えは導き出された。

「そうねえ、美味しいお蕎麦屋さんがあるんだけど」
「じゃあそこで」
「誘った側ですからね、奢りますよ」
「そりゃありがてえや」
「もしも次があれば、沖田さんが誘って下さいね」
「来月辺りにでも行きやすかね」

お互い普段着に着替えてから、お互いの家の中間にある場所で待ち合わせ。
なんだかデートみたいだと、二人はどちらからともなく笑った。


::::::::



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -