08/29 うっかり下半身銀さんの続き(銀時と姉上)
※昨日のうっかり下半身銀さんの続きです。
酔った勢いながらも一夜を共にした女の隣で銀時が目覚めた時、なぜかその女を妙が訪ねて来るという嫌な奇跡が起きた。
面倒は御免とばかりにやり過ごすつもりだったが、何となくこのままここで息を潜めているのも面倒くせえなと銀時は思う。そこで手早くパンツとズボンを身に付け残りの服を手に持ち、妙が外に立っているであろう扉をそっと開けた。
「よっ」
と、銀時が軽く片手を挙げた時の妙の顔。大きな目をあるだけ見開き、ぽかんと口を開けたまま銀時を見つめている。馬鹿みてえな顔だなと笑いそうになったが、さすがに空気を読んで堪えた。
「・・・銀さん?」
「はいはい」
「その姿で、どこへ行かれるんですか」
「いやちょっと・・・家まで?」
そうっと身体を外に出し、そうっと扉を閉めながら銀時は答える。
「・・・銀さん、せめて上着を羽織って下さい。そんな姿で町に出たら捕まりますよ」
「あ、そうね。そーすっかね」
持って出たブーツをはきながら、妙の顔を見ずに答える。わりと反応が普通なことに安堵した。このまま何となく誤魔化せやしないだろうか。銀時がそんなことを思っていても、そう上手くいかないのが人生だ。
「朝帰りですか」
核心に迫る質問。
「いやー」
「あ、もうお昼ですね」
淡々と話す妙から顔を逸らしたまま、上着に腕を通す。こんな場所で服を着るのもアレだが、このまま帰るのも目立って仕方がない。
「じゃあ、俺もう帰っから」
女と妙の関係よりも今はこの場を去るのが先だ。銀時はそそくさとその場を離れる。
「銀さん、そっちから降りるとお店側に出ちゃいますよ。こっちからなら通りに出ますから」
「・・・・・・お店?」
「ええ。ここはすまいるに近いですから。お店の女の子が住んでるんですよ」
あー、と銀時は思う。
「ってことは、俺が出て来た部屋に住んでるのも、すまいるの従業員?」
「そうですけど・・・まさか、ご存知なかったんですか?」
「いやあ、知らないっつーか、覚えてないっつーか・・・」
「覚えてない?」
「いやいやいや覚えてないっつーか、酔ってたっつーか、気付いたらここで寝てたって感じ?」
「・・・裸で、ですか」
「そう、ね。裸でね。暑かったのかもなー」
妙の顔が見れない。気まずいにも程がある。まさか妙の仕事仲間に手を出してしまったなんて。しかも酒の勢いだったから覚えてもいないだなんて。
無言になった妙に顔を向ける。しっかりと目が合ったところで一言。
「あなた・・・ばっかじゃないの」
呆れた顔で、呆れた声で。溜め息混じり言われてしまえば、銀時はもう何も言い返せない。全て妙の言う通りだからだ。
終わり