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定期的更新、短文や会話文や過去に書いた小説をうpします。

▽赤い花
【青祓 志摩燐 短文】

 その日、僕らの目の前に真っ赤な花びらが舞った。
 それは真っ赤な真っ赤な小さな花、彼は照れて隠そうとするけど、全部隠し切れないでいくつかまだ人目に晒されていることに彼はまだ気付いていない。それは僕にとってとても都合のいいことだったので、あえてそれを彼には教えないでおくつもりだ。
 
 僕が彼につけた小さなたくさんの真っ赤な花、花びらは隠しきれずにまだ彼の細い首筋で舞っている。

「志摩、何ニヤニヤしてるんだよ。」
「いやぁ?何でもぉ?」
「……き、きもっ!」
「きもって、ひどない!?俺は奥村君の恋人やろ!?」
「うるせぇ!!」

END



2011/12/21 05:27 (0)

▽Mond*y7s
【DRRR!! 帝人+(サイケと津軽) サイケは普通にいい子 津軽の精神年齢低め】

:G*lileo G*lilei(*→a)というバンドの「Monnd*y7s」(*→a)という曲をパロって書いたので、その曲を一度聴いてから呼んだ方が分かりやすいと思います。
:サイケと津軽の体は手乗りサイズほど、つまり二人は妖精さんってことでお願いします。
:ちなみにサイケ視点です。





***
 一日のはじまり、東の空から太陽が上り、僕らの世界に何回目かの朝がやって来た。残念ながら今日は、ぶ厚い灰色の雲が空に蓋をして輝く朝日を目にすることはできなかったけれど。太陽の光の代わりに空からは、幾万の雨粒が淡々と降り注ぐ。

「……ねぇ、サイケ。」
「なに?帝人君。」
「僕は、月曜日は嫌いだよ。」

 拗ねたような顔をした彼は、雨に打たれひんやり冷たい窓に自分のおでこをくっつけて、ぼそりと呟いた。不機嫌な色がまざった小さな声だった。

「またそんな子供みたいなワガママをいう、早く着替えて準備しないと学校に遅れちゃうよ!」

 憂鬱に小さく竦められた彼の肩にぴょんと飛び乗って、まだパジャマ姿のままの彼に朝の支度を促すと、僕が見上げるその横顔は瞼を閉じながら大きく大きく息を吸い込んで、その同じくらい大きな大きなため息を一つもらした。僕が乗っかかっている肩がさらに落ち込む。
 僕のマスターである竜ヶ峰帝人君は、今日はどうやら憂鬱な朝を迎えてしまったみたい。壁にかかった時計の針はチクタクチクタク、休むことなく動き続けているというのに、いつまでたっても帝人君は窓の傍から離れないで雨の街の様子を見つめたまま微動だにしなかった。
 まだ朝ごはんも食べていないのに、出掛ける時間になっちゃうよ!

「……マスター、学校は?」

 声がした方へと見下ろすと、津軽が心配そうな顔をして帝人君のズボンの端を引っ張っていた。僕らみたいな小さな体でどんなに頑張って引っ張ってみても、やはり小さな力のままなのであんまり意味はないんだけれど、それでも津軽は一生懸命ズボンの端を握っていた。壁の時計を指さして、「急いで、急いで」と目と行動で必死に訴えている津軽にひきかえ、「うーん」とどうも釈然としない返事を返す帝人君。
 雨が窓を叩くたび、時計の針が一つ動くたび、帝人君のため息の数も増えていく。何をそんなに憂いているのは僕らには分からないけれど、帝人君の影が落ちた表情をみているとどうにも心配になってしまう。この胸をぎゅっとされる気持ちは「悲しい」という言葉にきっと似ている。津軽にいたってはその青い瞳を潤ませて今にも涙の粒が落っこちてしまいそうだった。僕も、ちょっと、泣きそう。

「…………で、何で二人して泣きそうな顔をしているのかな?津軽にいたってはもう泣いてるし。」
「だって、マスターが、あまりにも悲しい顔、だ、だから。」
「それは……どういう意味。」

 嗚咽まじりの津軽の言葉に若干眉をよせた顔をみるに、どうやら帝人君は津軽が言った意味を分かっていないようだった。津軽はいつもちょっとだけ言葉足らずな奴だから。

「帝人君、津軽はたぶん『悲しそうな顔をしているから』って言いたいんだと思うよ。」
「ああ、なんだ、驚いた。僕の顔面偏差値があまりにも『悲しい』から(残念だから)泣き出したのかと思った。」
「……人の顔をみて泣くほど歪んだ性格してないよ、僕も津軽も。」
「あはは、そうだね。」
「?」

 今度は津軽がキョトンとした顔の横に疑問符を浮かべる、不思議そうに首を傾げる様子をみて帝人君が……あっ、ちょっと笑った。無垢な素振りに癒されたのか、幾分表情が和らいだ気がする。

「本当に、二人と話してると癒されるよ。何だか元気が出てきた。」
「ほんとう?」
「うん、本当に。仕方ない、今日も元気に学校に行こうかな。」
「ホント?」
「うん、本当に。だって行かないと二人とも泣いちゃうんだもん。」
「むっ、僕は泣いてないよ。」
「津軽も泣いてない!」
「はいはい。」




 憂鬱な朝を救うためやってきた、僕はMonday7s。寝ぼけ半分の瞼の瞬きも、君がもらしたため息も、窓を叩く雨の音も、君のハートの鼓動すらもリズムに変えて、憂鬱気分で悄げている君に音楽を届けよう。
 くっつきそうな瞼はこじ開けて、君が着替える重たい制服が不思議と軽くなるように、毎日食べてる朝食が今日は特別美味しくなるように、歯磨き洗顔でのぞき込んだ鏡に映るその顔が笑顔になるように、扉を開いて踏み出した、君が迎えた一日が幸せな一日になるように。僕らは溢れるリズムを歌にして、幸せの魔法、君に届けてあげるからね。

「いってらっしゃい、帝人君。」
「行ってらっしゃい、マスター。」

 いってきますって笑って、今日も君の世界が幸せでありますように。






END



2011/12/21 04:51 (0)


【DR臨帝 電波気味 以前うp済み】

 これから毎日、日記を書こう。内容はなんだっていい。今日見たこと、今日聞いたこと、今日行ったこと、今日出会ったこと。今思い付いたことをなんだって書こう。
 今日は美味しいものを食べました、またいつか食べに行こう。
 今日はとってもいい天気だったけど、何故か虹ができていまたした。不思議だよね。
 今日は隣に座った人になんでか知らないけど睨まれた、嫌だなー。

 日記に書くネタがなくなって、何を書いたらいいか悩む日が来たら、そしたら次は君のことを書くとしよう。君のおはようからおやすみまで、とにかく全部。
 それでもまた書くネタがなくなった時は、今度は僕の君への"愛"を言葉にしよう。一日一ページ、真っ白な紙を文字でいっぱいにしてみせるよ。なんなら全ての言語で書いてあげよう。どこの国の人が僕の日記を読んだって、ちゃんと内容を理解できるように。
 ノートが言葉でいっぱいになったら、次のノートへ。それを毎日毎年繰り返す。君はそれを確認するための立会人だね。

 この方法なら書くネタに困るなんてことないだろう。だって愛を言葉にすればいいだけなんだから、日記はいつまででも続けられる。もし、日記に終わりが訪れたとするなら。それは僕の君への愛が終わった時だ。つまりそれは僕が死んだ日だ。ノートの最後のページには、きっとこれから君へと愛が届けなくなってしまった僕の、悲痛の胸の内が何行にわたって書かれているのだろう。そんなの想像しただけで悲しいね。


 ねえ、だから。僕の日記が一日でも長く、僕が一日でも長生きできるように、君も日記更新に協力してよ。大丈夫、君は僕を愛し続けてさえいてくれたらいいだけだから。簡単でしょ?


 それじゃあ今日はこれくらいで、もうそろそろ寝ようかな。



 今日も君を愛してた。明日も明後日も、ずっと君を愛している。おやすみなさい。また、明日。


END



2011/12/18 05:35 (0)

▽好きっていわなきゃ死んじゃうよ。
【復活百正 以前うp済み】

 真夜中、付けっぱなしの深夜番組にまだ片付けていない夕飯の食器。白蘭さんはソファーの上、僕は床の上、互いにそれぞれ違う場所に座って、何も会話するわけでもなく無言で、深夜の静けさの中に僕らは埋まっていた。
 ふと白蘭さんがソファーの上から僕の腕を引っ張り、そのまま自分の足の上へと僕を座らせた。後ろから抱きしめてくるその腕が強すぎて、なんだか少し怖かった。


「ねえ、正チャン。」
「……はい。」
「好きっていって。」
「は?」
「大好きって、超好きって、いいや愛してるって。」
「突然何を言い出してるんですか。」
「超愛してるっていってよ、ねえ。」
「……なにかありました?」
「別に、今なんだか無性に正チャンのことが……好きなだけ。」
「そうですか。」


『僕も今、どうしようもないくらいあなたが好きですよ。』


 深夜の静けさに爆発した、恋心。それは上手に言葉に表現できないような感情ではあったけれど。
 テレビで流れてる下らない戦争のニュースなど、僕らにはもう聞こえていない。


END
title by「Aコース」



2011/12/18 05:35 (0)

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