お願いもっと
キミのことがどうしようもなく好きだから。ずっとキミの傍にいたいし、キミに触れていたいんだ。だから、もっと私の傍にいていっぱい私に触れて、そして、もっともっと私を愛してください



「ねえねえ雷蔵ー。」
「んー、何?」
「かまってよー。」
「うん、後でね。」
「それさっきも言ったじゃん。」


今日はせっかくのお休みなのに、肝心の雷蔵ときたら部屋に引きこもって読書読書読書。何がそんなに楽しいのか、せっかく彼女が遊びに来てるっていうのに雷蔵は顔すらも上げてくれない


「ねぇー遊ぼうよー。」
「後でね。」
「………………。」


そう言って、雷蔵はペラリとまた1枚ページをめくる。雷蔵は本の世界にのめり込んでいて、私になんて見向きもしてくれない。はっきり言ってつまんない。私は雷蔵の背中にギュっと抱きついて、彼が読んでいる本を肩越しに覗き込んで見た。だけどそれは物語の様で、途中から読むには明らかに意味が分からない。またやることの無くなってしまった私は、今度は雷蔵の髪の毛に顔を埋めてみることにした。ふわふわで優しい匂いは雷蔵そのもの。私は雷蔵の背中に抱きついたまま、ぐりぐりと彼の髪の毛に顔を埋める。ずっとそうしていると、雷蔵はくすぐったかったのかパタンと本を閉じてやっとこっちを向いてくれた


「くすぐったいよ夢。」
「だって、雷蔵が構ってくれないんだもん…。」
「寂しかった?」
「寂しかった。」


雷蔵の髪の毛に顔を埋めたままそう言えば、雷蔵は少し身体を捻り頭をぽんぽんと撫でてくれた


「ごめんね。」
「じゃあ、かまってくれる?」
「夢は本当に寂しがり屋さんだね。」
「雷蔵だけだよ。」
「そうだね。他の人にもこんなことしてたら許さないからね。」
「雷蔵は束縛屋さんだね。」
「夢だけだよ。」


優しく顔を持ちあげられ、気付いたら唇に雷蔵の熱を感じた。口付けされたんだと気付いた時には、また口付けられて。私はギュッと雷蔵の着物を掴んだまま、何度も降ってくる優しい口付けに応えた


「…雷蔵、大好き。」
「僕は夢のこともっと好きだよ。愛してる。」
「やっぱり私も愛してる。」
「ありがとう。」


お願いもっと
(私を愛して私に溺れてください
 だってこれは、欲張りじゃないんです、愛なんだから)

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