「…玲っ」
「さの、」
「逝くなよ、死ぬまで一緒だって言っただろ、それにうなづいたのは誰だよ…!」
「…泣かないでよ、左之助」

そんな顔されたら、覚悟が鈍るわ
なんて、似合わない口調で告げる玲は、その身体に少しだけ混じる鬼の姿でぐったりと横たわっている。

その唇は、自らの血で紅を差したかのように真っ赤で、
真っ白な髪と紅い赤い唇は、恐ろしいほど美しくて。

「そんなに、泣き虫だったかな?私の旦那様は」

青ざめた顔に無理矢理笑顔を作って言う彼女の手を、俺は必死で握り締めた。

「玲、」
「いつかまた、同じ世界に、同じ時代に産まれて、絶対また逢えるから。それまでの辛抱だよ」
「…玲っ、」
「あぁでも、短気な左之さんは我慢できないかな?」
「もういいから、黙っとけ…っ」
「何言ってるのさ。私の声、聞きたくないの?」
「玲!」
「…しょうがないなぁ。じゃあ、お願い聞いてくれる?」

そう言っておもむろに手を伸ばし、涙に濡れた俺の頬に沿える。
そしてゆるりと笑って、



涙のお別れは嫌よ、
笑って頂戴



だ、なんて。


(お前こそ、泣いてるじゃねぇか)
添えられた手に自分の手を重ねようとした瞬間、彼女は灰となって跡形もなく消えてしまった。




title by Aコース




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