昨日の土砂降りがまるで嘘のように、今宵は雲ひとつ無く月が綺麗に浮かんでいた。 月は、満月と言うには少し足りない気がする微妙な形をしていた。それでも、綺麗に地を照らすそれが綺麗だということは変わらないからそれでもいい。 「なーに見てんだよ」 不意に後ろから体重がかかる。こんなことする奴は一人に限られてくるから格別驚きもしなかった俺は「退けこの馬鹿」と素っ気無く返した。 まぁこの馬鹿はそんなこと言って退くような奴じゃないが。 「月見てたのか?」 「悪いかよ」 「悪くない。けど、月なんか見ておもしろいか?」 「おもしろくはねえけど、なんか綺麗じゃねえか」 「クロウってロマンチストなんだな」 「黙れ」 余計なことばっか言う後ろの鬼柳の顔面に裏拳をかましてやった。 大袈裟に痛み出す鬼柳に相手するのもめんどくさく、俺はそのまま顔を上げ月を見た。 そういえば鬼柳の目も、こんな感じだったか。 そう思って、後ろで鼻を押さえまだ痛がっている鬼柳を見た。 「ん?どした?」 「いや、別に」 そう言って目を逸らしたが、やっぱり綺麗だった。 小さい月が二つあるようようだと思えた。認めたくはないが。 「お前の目って綺麗だよな」 「え」 「目だけな!」 「ちょ、照れんなよ!でも可愛い!」 「黙れ!てかさっさと寝ろこの馬鹿!」 月が綺麗ですね 本人さえ気付いていない告白をさて彼は気付いているのだろうか あとがき ちょっと最初投稿したものより修正しました。 ILOVEYOU=月が綺麗ですね解釈っていいですよね。 月を連想して「あなたの目は綺麗ですね」ということは、つまり「月が綺麗ですね」ということになるんじゃないかと思って書きました。が、伝わらない\(^P^)/ 拍手ありがとうございました! |