親離れ子離れ未遂



ブルーノが転校したばかりの学校に笑って登校するようになった。元々ブルーノは人見知りだったのもあり、以前通っていた学校でも居心地が悪いように、無理をして笑っては人を避けて過ごしていた。
だからこちらとしてはブルーノが自分の意志で学校へ行きたいと思えるようになったのは大変喜ばしいことだ。


「ブルーノ」
「ん?なに?」
「今日は何かあったか?」

そう問い掛けるとブルーノは夕飯を食べることを止めてつらつらと今日あった出来事を話し始めた。その話には度々遊星という名前が出てくる。なんでもメカニックが得意のようで、そうゆうものに精通するブルーノにしたら話が弾むのだろう。きっとそこに私が居たら私もそうなるのだろうが。

「あ、それでね。遊星の幼なじみのクロウって子が今度クッキー作ってくれるって言ってくれて……って、あれ?でも何でそうなったんだっけ?」

こうやってブルーノが学校生活を話してくれるのは嬉しい。今まではこちらが一方的に話すか、何も話さなかった。だが今ではこんなにも声が溢れて夕食は賑やかになった。そうしてくれた遊星には感謝しなくてはならないと思う反面、自分が出来なかったことを数日で解消されるなんて、嫉妬か悔しさかもしくはその両方が、この胸を冷たくする。
子離れを前にした親の気持ちとはこんなものなのだろうか。なんて年寄り臭いことを思いながら、母親ゆずりの肉じゃがをお供に茶碗のご飯を平らげるブルーノの姿を見て冷たくなったこの胸を暖めた。


END








あとがき
学パロアン+ブル
遊星に焼き餅みたいな何かを焼いちゃうアンチノミーさん。
遊星とおんなじくらい出てくるジャックも気になっているらしい(ブルーノによく暴力を振るうから)