甘い甘い御褒美

どこの学校でもやるであろう文化祭が行われる時期になり、この学校でも文化祭が開催される。
各クラス何を出すか決めたりするのだが、それを決める前に管理員とか実行委員とかを決めないといけないらしくてもちろん俺はしない。
俺だけじゃない。遊星やジャック、鬼柳も立候補なんかしないと思っていた。そう、思っていたのだが
鬼柳がまさかの実行委員長に立候補したということを、昼休みに遊びにきていた鬼柳本人に聞かされた。
鬼柳は「俺頑張るから!」なんて親指を立てて言うが、いったいこいつに何があったというのだろうか。知ってからしばらくは口が開いたままだった。
それからというものの、鬼柳は実行委員長の仕事が忙しいらしく昼休みには呼び出されるは放課後居残るはで、一緒に居る時間が少なくなった。
俺はそれで静かだから別にいいのだが鬼柳がそれに耐え切れなくなったらしく、待てる範囲で待っててと言われた。
それなりに頑張ってるあいつの願いを断るのも悪いと思った俺は、教室で待つことにした。暇だからと言って遊星も。
俺は窓側にある自分の席で外を見ながら時間をすごした。しばらく見ていると、鬼柳が走っていたのが見えて、どうやら体力も使うようだ。
腕をまくって、走って、生徒に指導する姿は、いかにも真面目そのものであった。あいつは人をまとめたり引っ張るのは上手いやつだからこういうのは慣れてて居るのかもしれない。
いつもああなら残念なイケメンなんて言われないのになんて思って、ため息をつくと遊星に視線を向けた。
遊星は自分の席で本を読んでいた。(いかにも難しそうな本なので覗き見する気にもならなかった)

「にしても、何で実行委員になんかなったんだ?しかも委員長」

そう問いかけると遊星は本から目を離さないまま、口を開いた。

「クロウのせいだろう」
「は?俺?」
「鬼柳は単純だからな」
「え、おい、それどうゆうことだよ。俺なんか言ったっけ?」

俺がそういうと遊星は本から目を離し目を丸くして俺を見た。
あれ、やっぱり俺なんか言ったのか?はて、全然覚えが無い。

「覚えてないのか」
「まったく」
「……クロウが言ったんだ、鬼柳に」
「なんて?」
「実行委員長とかで人を引っ張られる奴はカッコいいと思う、と」

遊星が真面目に俺に言うと、俺は記憶を遡った。
そういえば、クラスで実行委員長の立候補を取って、俺のクラスに立候補者は居なかった。
その話を昼休みの時間に、遊びにきていた鬼柳と一緒に話していて、それで……。

「……あ」
「思い出したか」
「え、待て!あいつそれだけで実行委員長になったてのかよ!?」
「それ以外で鬼柳が実行委員長になる理由が思い当たらない」

認めるのは嫌だが遊星の言うとおりだ。
めんどくさがりのあいつが、なんの理由も無くこんなことするかよ。
あぁ、駄目だ。ため息しかでねえ。

「……クロウ」
「なんだよ」
「外、見てみろ」
「外?」

遊星の言うとおり、外を見るとさっきまで走り回っていた鬼柳がこちらに向かって手を振っていた。子供みたいに両手をぶんぶんと。

「振り返してやったらどうだ」
「えぇー、だってよう」
「クロウ手を振ってやればそれが鬼柳の原動力にもなる」
「うー……」

遊星は笑いながら言った。どこか楽しんでいるようにも思えるそれにすこし腹が立った。
そして、視線を遊星から外の鬼柳に移すとひらひらと手を振った。
すると鬼柳は飛び跳ねて手を振り出した。あー!こっちが恥ずかしい!

「喜んでいるみたいだな」
「喜ばれても恥ずかしいだけだっつうの」

そう言って目を逸らすと、文化祭当日のことを考えた。
実行委員長ってやっぱ当日も忙しいのだろうか。休憩時間とかはさすがにあるとは思うが……。
あいつに暇があるなら、出店でも一緒に回ってやるか。
そのさい俺のクラスが出すクレープでもおごってやるかな。
あいつ甘いの好きだし。





END
出店回る話書きたいけど、原動力がないです。(だからクロたん俺に手をry)

- ナノ -