突き付ける
(突き付けられるの続きです)
「プラシド!クロウを返せ!」
目の前で遊星が鬼の形相とも呼べる表情でプラシドに怒鳴ってみせた。俺はというとプラシドにまるで人質のように腕を捕まれている。遊星はその様子さながら俺が人質にされたと思っているんだろう。思っているからこと日頃表情を大きく変えること滅多にないくせに、あからさまに怒った表情しやがって、馬鹿だよお前は。優しすぎるんだよ。辛くなるのは誰だと思ってんだよ。
「クロウ」
感情に浸っているとプラシドに名前を呼ばれた。かと思うと背中を強く押されこけそうになりながらも遊星の前へ放される。
「クロウ!」
遊星の声が鼓膜を揺らす。
だが、それもこれで最後だ。茶番は、ここで幕引きだぜ。遊星。
「クロウ?」
駆け寄る遊星に手を出して制止させた。遊星の顔は不安にまみれている。
「クロウ……?」
「気安く呼ぶんじゃねえよ……不動、遊星」
呟くように言って、懐から銃を取り出すと確かなる意識を持って、遊星に、憎きシグナー共に、銃口を突き付けた。