視線の理由。


最近、よく隣の席の斎藤くんから視線を感じる。
斎藤くんって風紀委員で優等生で、なのに部活でも活躍してて、イケメンで女子から人気あるし近寄り難いそんざいだったのにくじ引きで斎藤くんの隣の席になっちゃってとても気まずい。

斜め後ろは斎藤くんと同じ位人気の沖田くんだし・・
私の後ろの席の女の子なんて今年の運使い果たした、って言ってた位だ。

正直この席になってから女子の目が怖い
私は大人しくこの学校で過ごすつもりだったのに、そう思うと自然にため息がこぼれる。
それに沖田くんにはいじめられるし斎藤くんは無口だし正直こわい。
ド変態で残念な友人はそれが幸せなんだなんて言っていたけど正直理解に苦しむ。頭大丈夫なのかなあの子は。
そう思いながら眠くなってきたのでうつ伏せた。

「みょうじ・・」
『はいっ!』
いきなり掛けられた声にびっくりして声の主の方へ振り向くと斎藤くんが心配そうな顔をして見ていた。
・・・斎藤くんと何日ぶりに話したっけ?
「いや、その・・体調が、悪いのか?」
『え?』
「あんたがうつ伏せになるのは珍しいと思った故・・・」
『あ、いや、眠くて・・・』
思わずしどろもどろな返答になってしまったけど斎藤くんはほっとした表情になっていた。
心配してくれたのかな?

『えっと、ありがとうございます斎藤くん』
一応お礼を言うと斎藤くんは照れくさそうに目を逸らした。

無口でクールだけど時々可愛いのが斎藤くんの魅力と残念な友人が力説していたけど、本当にそうかもしれない


『斎藤くんって、よく人の事見てるの?』
視線を感じていた事をこの際遠まわしに聞いてみると斎藤くんはきょとんとしていた

「何故、そのように思う?」
『あ、え、いや・・・なんとなく最近斎藤くんから視線を感じるというか何と言うか・・・』
これ、勘違いだったら私めちゃくちゃ恥ずかしい人じゃんと思うと思わず斎藤くんの目が見れなかった

「それは、だな、総司があんたと俺は似ていると言う故に、少し興味が湧いて・・・」

あたふたと慌てる斎藤くんが珍しくて思わず言葉に迷ってしまっていると斎藤くんの肩がしょんぼりと落ちて、すまなかった、と謝られた。

『ううん、でも私と斎藤くんそんなに似ていないのにね』

斎藤くんはかっこいいけど私は別に普通だし・・・

「俺も総司の言葉の意味に理解は苦しむが・・・」

斎藤くんはため息をひとつつくといつものきりっとした表情で私をまっすぐ見てくるから柄にも無くどきっ、としてしまった

「前からあんたと話したいとは思っていた」

『あはは、嬉しいなぁ・・・って、え?』

視線の理由。
(入学式の時から気になっていた故)
(え、そんな前から?)


(それが恋と気づくまであともう少し