DIO様と誕生日


『ただいま……帰りました…』


沢山の荷物を抱えて屋敷に帰ってきたのは、もうそろそろ日付が変わってしまいそうな頃だった。少しはしゃぎすぎた気がする…。

今日が自分の誕生日だった事は、朝屋敷からマライアとミドラーに無理やり連れ出される瞬間まで気付かなかった。ずっと行きたいと思っていたレストランやブティック、観光地を全て回らせてもらった挙句、各地でサプライズもあって、途中からホルホースも合流して洋服も買って貰った。
久しぶりに、1日かけて遊び回れて最高に気分がいい。今日はぐっすりといい夢が見れそうだ。


「おかえりなさい、なまえ。如何でした?」
『あ、テレンスさん!遅くなってごめんなさい。でも最っ高に楽しかったです!』
「それは良かったですね。今日はもうすぐお休みに?」
『うん、そうしようかな…』
「わかりました。」







久しぶりに昼間外に出ていた為か、自室へと続く廊下の暗さにまだ目が慣れない。自室に入ってもその暗さに脳が支配されるから、今日はもうこのままお風呂にも入らず、何もせずに寝てしまおう。

ベッドに倒れ込んで、今日一日の楽しかった事をすべて噛み締めてから目を閉じ、夢の世界への扉を開けようとした…その時だった。


「館の主に挨拶も無しか。」


体にかかる体重と、ゾッとするような低く色気のある声に、私はバチッと目を開いた。暗くて見えなくたって誰だか判る。そして内心、まぁ、こうなるよなと、諦めの念が私の抵抗心を奪っていった。今日一日、何もかも全てが丸く進んでいったのは、この男の干渉が一切無かったからかもしれない。

『…ただいま帰りました』
「遅すぎるのではないか?」

いつの間にか両手首は彼の片手で纏めあげられていて、動かないのをいい事に首筋に顔を埋められる。柔らかな髪の感触にくすぐったさを感じていると、チクリと痛みが走った。まるで罰だとでも言うように、数センチ、鋭い歯で浅く切られたらしい。


「今日は存分に甘やかされてきたのか?」
『うん…買い物たくさんした』
「ほう…他には?」

そう言いながら、纏めていた手を解放しして、手の甲にキスをされ、挙句指に舌を這わせられる。ビクリと反応してしまうと、いいから話せと制されて、行為はやめてくれない。
怒っているのかそうではないのか、彼の思惑はまだ読めない。


『レストランで、サプライズがあって、あと…洋服とか、プレゼントされて……あ、あの、DIO…』

言葉を紡ぐうちに指、手首、腕、肩と順に舌でなぞられて、わざと私の目をジッと見つめ返してくる。堪らず視線を逸らすと、今度は先程傷つけられた首筋の傷を舐められた。


『っ…!』
「なまえ、今日はお前の誕生日だったか?」
『そう、ですけど…』
「ふむ…ならばこのDIOからも、1つプレゼントをくれてやろう。」


そう耳元で囁かれ、最後に軽く甘噛みをされる。半分意識を溶かされ朦朧としていると、DIOの指にキラキラと輝くネックレスが絡んでいた。
ゆっくりと鎖骨に指を這わされ、同時にヒヤリとした金属の感触が肌に伝わる。首の後ろで留め具を止められて、彼からのプレゼントはしっかりと私の首を彩った。


『ありがとう…』
「…お前の白い肌に赤はよく映える」
『ん、…ぁ…』

再び鎖骨辺りを吸われて、くっきりと赤い痕が残った。

「なまえ、他に何か欲しいものはないか?」

唇をなぞる指、首や肩を撫でる掌、妖艶に光る二つの瞳。いつの間にか、彼の全てが私の情欲を駆り立てる要素になっていて、少しずつ無意識に息が上がっていく。喉が渇き、身体が熱い。

『……っ…DIO、…』
「ん?私が欲しいのか?」

コクリと頷くと、それはそれは愉しそうにニヤリと笑う。
再び体に体重がかかり、彼の顔が近付いてくる。待ちわびていた口付けの予感に胸を高鳴らせるが、あと数ミリで唇が触れそうなところで、ピタリと止まってしまった。


『…………?』
「…………時間切れだな。」
『………………え?』

ポカンとしていると、彼は私のベッドから降りてしまった。なぜ、ここまでしておいて、どうして。


「お前だけいい思いをしすぎるのはつまらんからな。」
『………え』

なんとも憎たらしい笑み。

「ここまでは誕生日のサービスだ。続きを望むのなら、自分からこのDIOの部屋へ来るがよい。」

なんとも魅力的な言葉。

「意地を張る必要はない、お前から求められ少し気分が良いのでな。素直になれば最高の一夜をくれてやろう。」

なんという殺し文句。

恐ろしいくらいの笑みを残して部屋から出ていってしまった吸血鬼は、やはりこの世の王なのだろう。周りの者を屈服させ、そして惹きつけてしまう力を持っている。

ああ、頭の中は既に彼でいっぱいだ。彼の部屋に行けば最高のひとときが待っている。同時に、まんまと己の術中に落ちた女と馬鹿にされるかもしれない。
でもそんな事はどうでもいい。
今はただ彼の体温を感じたい。何より熱くなってしまった身体がとても収まらない。全てのプライドを捨てて、彼の待つ寝室へと向かう事にしよう。




術中に堕ちる

(さて、愛しいあの女の願い乞う姿)
(実に楽しみだ)

20121118
Present for HYT!

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