私への戒めに気が済んだのか、リドルはまた(主に深海魚の)水槽に夢中になる。全く手加減というものを知らんのかこの餓鬼は。
魔法って狡いよ!子供とは思えない力で抓るんだもん!千切れてもいい具合の力で抓てるだろ!…リドルなら簡単に治せそうだな。千切れても。

「おーいリドルーあんまり離れると迷子になるよー」

いつの間にやら奥に行っていたリドル。休日で出来たばかりの水族館だけあって本当に人が凄いのだ。迷子になられると探すのに苦労しそうで非常に困る。
手を繋いでおきたいが、さっき断られたこともあってきっと嫌がるだろう。出来れば見える範囲に居てほしいものだ。

「僕に限って迷子なんてありえるわけないだろ」

なんだその自信は。リドルに近づけばそう一言私に吐き捨てる。どんだけ自信家なんだ。迷子になって泣いても知らないぞ。全くリドル様は我侭で苦労が絶えないわ。
…子育ての苦労をまさかこの歳で知るなんて思ってもみなかった。お父さん、お母さん、育ててくれてありがとう。←

「てか、どんだけ深海魚好きなんだよ」
「いけないの?」
「いや、そういうわけじゃないけど…もっとイルカとかさ可愛いやつ見ようよ」
「イルカなんてあんな人に好かれて調子に乗ってる動物なんて虫唾が走るね」

あ、リドル様だ。なんという捻くれ具合だ。

「ま、僕に従うものは嫌いじゃないけどね」

意味のわからないデレ醸し出しましたね。やっぱ見てて面白いわリドル。
笑いを堪えていたら、ニコニコしながらリドル様は無言で本日何回目であろう頬抓りの刑を実行成すった。流石の私も怒りが爆発だ。だから痛いんだって!!

「もういい加減にしないと、怒るよ!?置いてくよ!?」
「ふん!置いてかれても、別に構わないよ!」

なんというツンツンなんだ!さっきのピカチュウリドルはどうした!!さっきまでそれはもう無邪気な子供だったじゃないか!!可愛げのないリドル復活ですか、コノヤロー!
リドルはぷいっと私から顔を背けるとスタスタとこの水族館で一番大きな水槽の方へと足を進める。拗ねてるのか…?え、ちょ可愛いなおい。

「リドルちゃーん、置いてくって言ったから拗ねてるのー?」
「…」

無反応。私と目を合わせないようになのか、水槽の中に優雅に泳ぐエイをひたすら目で追いかけているようだ。
おうふ、機嫌を損ねてる。これは確実に拗ねてる。ちょっと怒られただけなのに拗ねてる。よく見たら少し涙目かもしれない。何この子可愛すぎだろ。
きっと怒られ慣れないせいなんだろうな。こういう時の反応とかもわからないのかもしれない。この子はきっと自分の感情を上手く表現出来ないのだろう。

「リドルー」
「…」 ぷいっ
「ごめんてーリドルー」
「…」 ぷいっ
「…おうふ」

どうにか目を合わせようとするのだが、リドルは断固として目を合わせないようにする。これは困ったな。家でギクシャクするの嫌だな。リドル、ねちねち根に持つタイプっぽいしなー。下手したら何週間もこれかも。
機嫌が治せるものを探すべく私は周りをキョロキョロと見渡す。そこであるものが私の目に付く。…あ、朝興味深そうにTVで見てたよね、リドルの奴。

私はそれを買うべく、リドルの傍を離れた。

 


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