「……〜っ……ぃ…」

ん…誰かが私を呼んでいる…――?
…だめ、だ…上手く聞き取れない…。
私は…誰…―――?

「変な演技してる暇があったら、さっさと起きろ」
「ヘブシッ!?」

誰かの蹴りで私は目を覚ます。仮にも女の子なんだから顔を蹴ることはないだろ!なんて卑劣な野郎なんだ!そんなことする奴は何処のどいつだ!

「って…あれ…リドルじゃん」

私の麗しい顔を蹴った人物は、勿論だがリドルであった。恩人になんてことするんだ。誰のお陰でふかふかのベッドで寝れてお風呂も入れて美味しいご飯も食べれてると思ってるんだ!

「ベッドはふかふかじゃないしお風呂だって僕が掃除してるしご飯だってそんなに美味しくはない、それに、君の顔をはお世辞にも麗しいとは…はっ!」
「開心術、ダメ、ゼッタイ。てか、酷すぎる!!鼻で笑った!!こいつ鼻で笑いやがった!」
「いつも通り馬鹿の花子は口に出して言ってたんだよ。あと、本当の事を言ってあげたまでだ」
「本当、酷いよね、リドルさん」

あれ…なんか、リドルさんが霞んで見えないぞー?あれー?こいつ、本当に8歳なのか疑う饒舌振りだ。うん、別にリドルの言葉に傷ついてないもん。泣いてなんかないもん。うぅ。

「そんな事よりも、そんな元気ならさっさと服を買いに行こう」
「あ、そうだ、私…リドルに殺されてたんじゃ…あれ、なんで生きてるの…あれ?」
「ふふっ」
「え、何その笑み、本当に殺しかけたのか!?というか、周りに魔法見られたらいけないだろうが!」
「大丈夫、ちゃんと周りの人間の記憶は隠蔽しといたから」
「殺しかけてたのは事実なのね!?」

リドルは逃げるかのように満面の笑みを浮かべながらエスカレーターに乗った。圧巻だ。なんて末恐ろしい餓鬼なんだ。あの歳で忘却術を覚えてあんな大多数の人間に使えるなんて…凄い魔法使いになるよ、あいつ…あ、ヴォルデモートになるから凄い魔法使いだった。忘れていたけど、彼はいずれ名を言うだけでも恐れられるあのヴォルデモートになるのだった。
もうこの事は水に流そう。…何より思い出そうとすると何故か動悸が激しくなって、手足が震える。なんでだろーあはははは……うん。危ない橋を渡らない方がいい。流石の私も学習した。うん、もう少し可愛い気の或る悪戯をしよう。(学習してない)
リドルの後を追うように私もエスカレーターに乗る。





「可愛いは正義」
「花子、顔が緩み過ぎ、近寄るな変態」

只今、私とリドルは子供用洋服ショップに居るわけなのですが、何着か買ってやろうと周っていたのだが、リドルは私と違って美しい顔立ちをしてるもんだから何を着ても似合う、悔しいことに、ね。可愛すぎるよ、なんでそんなに可愛いんだ。

「可愛いは罪」
「本当に罪犯しそうな顔で言わないでくれるかな、きもい、穢れるから近寄らないで」

少し、距離をとるリドル。そういうツンの処に1000ポインツッ!

「さて、あと1着くらい買おうか!」

試着室から出てきたリドルに告げる。これ以上引かれると流石の私も傷つく、ちょっと泣きそうになってる。リドルはいちいち言うことがきつい。けどそれがいい。あ、Mじゃないからね!?←

「僕は、これくらいで十分だし…申し訳ないよ」
「リドルにも申し訳ない気持ちがあるんだね」
「抓られたいの?」
「なんて謙虚なリドル様!素敵ですわ!」

抓られるのだけは勘弁。あれすっっっっっげえぇ痛いから。そんな俯きながら言われたら尚更怖いっす、リドル様。

「ま、いいじゃんいいじゃん。9着も買ってるんだし、今更申し訳も糞もないと思うけど?微妙な数だからこの際10着にしとこう」
「そうだね…」

9着については触れないのね、この餓鬼は。9着も買う人間が今更申し訳ないって…。何着でも買っていいとは言ってるけどさ、遠慮はしようぜ。しかも、狙ってるのか結構いいお値段の物を選ぶし、流石ですわ!リドル様!これじゃ今月私ゲーム買えないわ!こんちくしょ!
ぶつぶつと考えるリドルは本当に買いたいものはなさそうだった。私はぐるりと店内を見渡す。そして、気になるものが視界に入る。そして、私はつかつかとその服を手にやる。そして、リドルの元に戻る。

「買いたいものがないなら、私が選んでいいよね?」
「え、やだよ…」
「じゃじゃーん!これ着てよ!」
「話を聞け、馬鹿女」
「え?馬鹿だから何言ってるかわかりましぇーんwww」
「うわっ都合がいい奴だな。というか、何その黄色い謎の服は」

私が着てほしい服…それはピカチュウの着ぐるみ。パジャマのようなものだ。これはきっとリドルが着たら可愛いに違いない。

「まぁまぁまぁまぁまぁ!ちょっと試着してみてよ!」
「お、押すなっ」

半ば(ほぼ)強引に試着室に連れ込む。流石に着替えさせるのは自殺行為なので外で大人しく待機する。リドルも諦めたのか渋々着替えてくれる。

「絶っっっ対似合ってない」
「いや、超似合ってる。チョベリグ的なノリだよ」
「鼻血垂らしながら抱きつくな!!気持ち悪い!!」
「そんなところも可愛いよ、リドル、ハァハァ」
「うわっ!!息荒くするな!!変態が!!!」

いつも通り、リドルのあまりの可愛さに私は思わず抱きつく。そして、いつも通りリドルは暴れる。

「離れろっっっ!」
「いあだだだああああああああああ頬が千切れるううううううう」

…いつも通りの頬抓りの刑に合うのだった。
勿論、ピカチュウの着ぐるみは即買わせて頂きました。

 


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