「君も、僕の事信じてないの?」

将来イケメンの間違い無しの美貌を持つ少年の名前はトム・リドル君。何故だかハリポタから私の処にトリップしてきた男の子。リドル君は怒りとも泣き顔ともとれる表情で不機嫌な声で問いかけてきた。一体何の話だろう。

「僕が不思議な力が使える事だよ」
「開心術、ダメ、ゼッタイ」
「口に出てた」
「あらら、私のいけない癖が。早く治さないとね」
「絶対、治らないと思うよ、馬鹿だから」

安定の罵倒ありがとうございます。

「君の能力については信じるよ。信じるしかないからね」

あんな夢見せられて私の目の前に夢に出ていた子供がいるんだから信じるしかない。リドルの事好きだし救いたいと思ってたけど個人的にシリウスが好きだったんだよねーシリウスが来て欲しかったー!

「………今失礼なこと考えてなかった?」
「まさか、そんなわけないじゃないですかー」
「ふーん」
「いあだだだだだだ!やめて!!今絶対力使ってるでしょ!!頬を抓らないでええええ千切れるううう!!」
「何の事かわかんなーい」

リドル君は物凄く可愛い笑顔ではぐらかす。うん、君はきっと(嫌な方向で)偉大な魔法使いになる。てか、将来ヴォルデモートになるんだからなってるのか。確実にこいつあのトム・リドルだよ、確信した疑いようがないわ。

「本当ごめんて!!リドル様お願いします!!!許してください!!!」
「…仕方ない、これじゃ話にならないからね」

そういうと、頬の痛みが和らいだ。やっぱり完全に魔法使ってんじゃん、使いこなせてるじゃん、何が分からないだよ、嘘吐き野郎。またこんなこと言ってたらリドル君に何されるかわからないからやめておこう。

「えっと、ここがどこかって事でしょ?ここは東京だよ。」
「?イギリスじゃ聞いたことない町だね」
「んー日本って言ったら分かるかな?」

少しの間。日本でわかってくれなきゃどうしよう。どう説明すればいいんだろう?あの時代だったら第一次世界大戦に参戦してる筈だから知ってるかな…?

「…は?…あの東洋の?」

良かった、わかってくれたみたい。

「僕は確かに自分の部屋に居た筈だ。え?君もしかして僕を誘拐したの?僕が可愛いからってそういうのは犯罪だよ?強制猥褻罪で訴えられても文句ないよ?」
「ちらりとナルシスト入れるな。私は君を誘拐なんてしてません。猥褻行為も致してません。むしろこっちが不法侵入で通報したいくらいだよ」
「家に連れ込む時点で猥褻行為だ。君の存在自体が汚れてる」
「数分しか知り合ってないのに凄い言われようだな、私」
「というか、どうやってロンドンからとーきょー?に連れてきたんだよ。君も不思議な力でもあるの?」
「あったらそれは素晴らしいね。欲しかったわ。だけど、残念ながらないよ」
「じゃ、どうやって」
「それは君が知ってるんじゃないの?私が寝てたら君は隣で寝てたんだから」
「………あ」
「何か心当たりある?」

リドル君は何か思い当たる事があるようだ。手を口元に近づけ、考えてるっぽい。そして、ぶつぶつと小さな声で独り言を発している。

「……けて……ここに……」
「え?なんて??聞こえない、もうちょっと大きな声で喋ってよ」
「盗み聞きやめてくれる?」
「いや、会話してるんじゃないの?今」
「…君、もしかして毎晩僕の部屋に来て覗き見してくる変態ストーカーさん?」
「スルーですか。うん、何かいろいろ誤解はあるが、多分それ私だわ」

向こう側から私見えてたのね。え、やばっ!じゃあれか!トム(父)とメローピーがセ○クスするところも私に見られながらしてたのか!!メローピー悪趣味だろ。

「どうしたの?」
「いや、これは子供が知っちゃいけない事だから聞かないで」
「子供扱いするな」
「君の為なんだ分かってくれ」

すまんが、これについては子供扱いさせてくれ、というかさせて頂く。大人な話だし、何より両親の事だ。知らない方がいいよね、多分。

「あれだ、私とリドル君は違う世界の住人で、リドル君が私の世界に来たわけだよ」
「何それ。そんなスケールの大きな話を信じると思う?信憑性なさすぎるつくり話だね」
「見ての通り君の世界にはこんな薄いTVはなかったと思うし、カレンダーを見てくれれば月日が流れすぎてる。そんなおかしな事がそれ以外でどうやって説明がつくの?…それに私だって君の話を信じたのだから信じてほしいな」
「……」

こんなに喋るの久しぶりで何言ってんのかわかんないし、最後のは流石に無理矢理感があるな。まぁ、いいか!
リドル君に無言になり、また口元に手を当てる。これは考えてるときの仕草だろう。仕草まで子供とは思えない。というか、大人っぽすぎるだろ!小学生に色気感じる事そうそうはないと思うわ!(犯罪)
考えが纏まったのか視線を此方に向け、口を開く。

「………君が初めてだ」
「え」
「僕とこんなに長く喋ってくれて……不思議の力を信じた人は」
「…ほう」

そういえば、作中でも少し書かれていたけどリドルは…孤児院では煙たがられて、嫌悪されてる存在だったんだ。小説の中では描かれてない嫌がらせ一杯されてた筈だ。…だから、リドルは…ヴォルデモートは人を信じる事愛する事が出来なかったんだ。

「…だから、僕も、君の言葉を信じるよ」

リドルは俯きながら呟く。え、何これデレリドル?これが噂のデレリドルですか?可愛すぎますやん、可愛すぎやしませんか?やばい、可愛いだろ。

「……………離せ、馬鹿女」
「これは体が勝手にだね」
「いいから離せ」

あまりの可愛さに抱き締めてしまった。可愛すぎるリドル君がいけない、なんて罪な男なんだ。私は嫌と言わんばかりに更に強く抱き締める。

「っ!…ぉい、本当に、強要猥褻罪で訴えるよ?」
「猥褻行為じゃないもーんただのスキンシップだもーん」

頬ずりもしてみる。くそっ!なんだこの柔らかくいい香りのする髪は!!ずっと触れていたい!!やばい!!やみつきになるよこれ!!

「…〜っ!離れろ!!!」
「いだだだだだだごめんなさい離れますだから頬を抓る魔法はやめてえええええ千切れる千切れるうううううごめんなさいリドル様ああああああ」
「………ふ、ふんっ」

リドル君はぷいっと私から顔を背ける。チラッとだが、頬が赤くなったように見えた。…照れてるの?何それ可愛い…が、頬を抓る魔法はやめてほしい、いやこれマジで。大人の力以上に抓ってくるから千切れるんじゃないかって心配だわ。

「僕、お腹空いた。早くご飯作って」

リドル君はキッチンの方へと走った。……これはなんか自然と居座る感じになってるぞ。え何それ怖い死亡フラグですか?

「仕方ないか、目玉焼きだけでいいk…あ」

時計を見れば…―――9時47分。
一限目は確か雷禿親父の授業だったはず。確実に間に合わない、確実に怒られる。
―――…そうだ、リドルのせいにしようっ!←








(僕とこんなに接してくれた人は初めてだ)

(あいつは今まで逢ったやつらと違う)

(僕は初めて人を信じた)

 


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