んー私は何時から犯罪者になったのだろうか。というか、そっちの気はない。純粋に年上の男の人が好きだ。まず私が連れ出したかも定かではないけどさ。昨日はバイトで疲れて帰ってきてお風呂入って一人で寝たはずだもん。私は何一つ悪いことも疾しいこともしてない。…多分。
私の記憶が正しければ、子供と寝てない筈だ。見た感じ7歳か8歳とみた。第一反抗期くらいの年齢だな。

「…ん…」
「てか、この子…」

寝返りをするこの男の子、見たことある。必ず夢の最後に出てくる男の子。間違いない将来絶対にイケメンに成るであろうこの綺麗な顔立ちはさっき夢の中で私の手を掴んだ子だ。あれ、これ超ホラーじゃない?怖すぎるだろ。
気持ちよさそうに寝ててちょっと可哀想だけど、取り敢えず起こしてみよう。

「ぼくー起きたまえー」

体を揺らせてみれば、男の子はゆっくり目を開く。見れば見るほど可愛い。黒髪だけど日本人とは質感は違っていて、顔の造りも西洋人って感じだし、鼻高い唇可愛い肌綺麗白い睫毛長い。絶対外人だな絶対イケメン間違いなし。今でも惚れるレベル(犯罪)

「……おまえ、だれ…だ……」

睫毛の長いぱっちり二重の目は中途半端に開く。寝ぼけていて無意識に口が動いたようだ。日本語は喋れるようで安心した。少し言葉遣いに難がありそうだけど。
…うん、こっちの方が名乗って欲しいんだけど。

「ま、いいか。お姉さんは花子よ。ぼく、何処から来たの?」
「……花子………?」

男の子はゆっくり私に視線を向ける。紅い瞳が私の頭の天辺から足の先まで見てくる。…てか、そんなジロジロ見られたらお姉さん恥ずかしいよ。

「え、だれ?」
「いや、それこっちの台詞だし」

男の子は目が冴えたのか警戒心剥き出しで此方を見る。うん、折角の綺麗な顔が台無しだよ、少年。

「というか、ここはどこ」
「私の家ですが」
「住所を聞いてるんだよ、馬鹿なの?」
「馬鹿って言う方が馬鹿なんだよ、馬鹿!」
「それじゃ、君も馬鹿になるね」
「あ、しもた」
「うわっ本当に馬鹿だ」

…しょ、小学生のよくある口答えじゃないか!べ、別に傷付いてなんかないからね!…思った通りのこの口悪さは(嫌な方向で)いい大人になるだろう。うん、絶対なるね。
さっきの警戒心は和らいだのか今私に向けてる視線は馬鹿を嘲笑うかのような視線だ。これなら警戒心の視線のがまだマシだ。

「ま、いいや。ぼくは何処から来たの?」
「さっきからその子供扱いやめてくれる?それから僕の質問を無視するな、馬鹿女」
「子供にしか見えないから子供扱いしてるんだよ?それと、ぼくも馬鹿扱いしないでくれるかな。名乗ってくれたら名前で呼んであげる。それと私の質問に答えてからぼくの質問に答えてあげる」
「馬鹿を馬鹿扱いして何が悪いの?」
「馬鹿は確定なのね!これでも成績は良い方なんだけどな!」
「学力としてではなく人間として馬鹿だって言いたいんだよ、馬鹿女。僕の名前ははトム・リドル。ロンドン出身だよ」

ちょwwwwwロンドンって遠いってwwwどうやってここ来れたしwwwwてかwwwトム・リドルってwwwどこぞのハリポタでもあるまいしwwwww…色々、酷過ぎやしませんか?お姉さん涙目だよ?

「………って、え?」
「…?」

ハリポタ…?ん??待てよ…?

「………」
「おい」

金曜ロードショーで観て、久々全シリーズレンタルしたやつ今日返さなきゃ!いや、これは今はどうでもいいんだけも、なんか引っ掛かる。………トム・リドル…あ、あの夢の人……メローピーだ……。

「………」
「馬鹿女、聞こえてる?」

思い出した。あの夢。あれはメローピーとトム・リドル(父)の物語だ。昔トム・リドル(父)のこと死ねばいいって思ったんだった、まぁ一方的に惚れさせたメローピーも悪いけど子供探そうともしないのは酷いよ!子供に罪はないじゃん!…って、待てよ…(二度目)

「………」
「無視するな、馬鹿女」

このトム・リドル君はあの人たちの子供ってこと?そういうことなの??夢から出てきたってこと?え?あのトム・リドル?後のヴォルデモート卿になるあの?

「…〜〜っ!もー!!花子!!」
「…リドル君…もしかすると、君の周りで不思議なこととか起こってたりしてない?」
「えっ…あ、うん。」
「例えばどんな?」
「手を使わなくても物動かせるし、蛇とも喋れる。あと、この間僕に嫌がらせした餓鬼を呪うように睨んだらち○こが思いっきり蹴る以上の激痛が一週間くらい治まらなかったらしい」
「なんと生々しい復讐なんだ」

うん。この年相応とは思えない立ち振る舞いと言い、嫌がらせの生々しさと言い、この赤い瞳と言い、蛇と喋れる処と言い、名前からしても、こやつは正しく私の知ってるトム・リドルだ。

「そうかそうk………ほう」
「え、なんなの、そのまるで死んだ魚のような目」



―――つまり、これは逆トリップというやつで。
―――つまり、相当面倒なことに巻き込まれてるわけだ。


 


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