「レッドさん…」
「…ん」
そろそろ離れませんか?
やだ

これは一体どういう状況なのか。私とレッドさんは一応初対面だ。今さっき会ったばかりの友達とも言えない関係だ。
正直、心臓が持たない。レッドさん顔整いすぎ仄かに香るシャンプーが色っぽ過ぎ。男性経験ゼロの私には刺激的すぎます。そろそろ恥ずかしさで気絶しそう。

「私たち、初対面ですよ?」
「…関係を深める為の、スキンシップ」
「いやいやいや!これは早すぎますって!」

スキンシップってまず会話からでしょう!誰が初対面に抱きしめるスキンシップするの!?いろいろツッコミ所有り過ぎて困る。
取り敢えず、離れてもらおう。じゃないと、私の心臓が持たない、いやこれまじで!
そんな事考えてる私の事はお構いなしにレッドさんは私の首辺りをくんくんと匂う。え、なに…?

「ど、どうされました…?く、臭いですよ…?」
「…いい匂い」
「え、ど、どうも…」
「……美味しそう」

何を言い出すのか、この人は。人の匂い嗅いで美味しそうって言う人なんて今まで見た事ないぞ。
仕方ないので取り敢えずはありがとうございますと疑問に思いながらもお礼を言った。その瞬間だった。

「…んっ」
「ひゃっ!?」

事も有ろうに、レッドさんは私の首を舐めたのだ。首だけでは収まらず、そのまま耳に掛けて舐めていくレッドさん。

「れ、れれれ、れ、レッドさ…ぁっんんっ!」
「…ミハル、可愛い」

可愛い、じゃないから!初対面とは思えないスキンシップだぞこれ!
どうにか離れようとするのだが私の運動不足の力のない腕ではどうにもならず、結局レッドさんと離れる事が出来なかった。
レッドさんの温かい舌が、今度は私の耳の中を支配していく。本当にまずいって!初対面だって!(重要)
その瞬間だった、腕の方にある違和感を感じる。其方を見れば、黄色い物体が私の腕を舐めていたのだ。

『ピィカ!』
「えっ」
「…ピカチュウ」

レッドさんと私が気づいてあげれば、ピカチュウが嬉しそうにニコッと笑った。
「…ご飯、作る」とレッドさんは呟くと立ち上がり何事もなかったようにキッチンへと足を向けた。な、なんかわからないけど、助かった…。
何はともあれピカチュウにお礼を言う、とピカチュウは撫でてーと私の手を突付くので撫でてあげると、ピカチュウは気持ち良さそうにそれを受け止める。
そんなピカチュウに癒された私はさっきの状況を冷静に考えてみる。うん。

これは、もしかすると、私の貞操の危機なのでは…―――!?



(んなわけないか!)


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