※最強コンビ贔屓の現パロ(エイプリルフールにあった祓ったれ本舗ネタ)です
※一部お下品なのでご注意ください…。



ビジュアル、トーク、センス、運、話題性、何をどうとっても完璧な五条悟と夏油傑の二人が成す、突然現れた超絶イケメンお笑い最強コンビ「祓ったれ本舗」。
この日本で、人気絶頂が服を着て歩いているような二人を見ない日はない。

そんな彼らのマネージャーを任された時はプレッシャーで潰れそうだったけど、とても光栄だった。
…だけど。わたしは国民的スターのマネージャーになった覚えはあれど、幼稚園の先生になった覚えは、ない。

「五条さん!五条さん!起きてくださーいっ!」
「悟ー、朝だよー」

どんどんどん、とホテルの豪勢な扉をいくら叩いても、部屋の主は出てこない。(スタッフ一同まとめてワンフロア貸し切りにしておいて本当によかった)
今日は地方ロケ。出発の時間まで、30分を切っていた。

「使いたくなかったけど、奥の手です…。夏油さん、何かあったら私を捨てて、五条さんとロケ現場へ向かってください」
「わかった、悟を捨ててマネージャーとロケに行くよ」
「相方を簡単に捨てないで…!」

私が懐から取り出したのは、ホテルから事前にお借りしておいた五条さんの部屋のスペアキー。
ゆっくりと扉にキーをかざすと、カチャリと簡単に扉が開いた。ロックはかけられていない。……あの人、今回も起こしてもらう気満々だったんだな…。

「五条さん!起きてください!」

廊下を進んだ奥の寝室、大きなベッドの上に、190センチを超える長身がシーツを被って丸まっていた。
わざとドスドスと足音を立てて近付き、巨大なシーツの塊を揺り起こそうと手を掛けた途端、中からヌッと伸びてきた白くて長い腕に手首を捕まれ、真っ白い布に連れ込まれた。
わ、五条さんのいい香り…じゃなくて…!

「ぎゃっ!」
「ん…もう少し色気のある声を出そっか、マネージャー…」
「五条さん起きてください!」
「ぁー…悟くんのサトルくんは、もう起きてるー…」
「ひぇ!へ、変なとこ擦り付けないで…!」

ぎゅうっとたくましい両腕に抱き込まれて、逃げられないどころか寝ぼけた五条さんの下半身が私の足の間を割って入ってきて、ぐっと腰を押し付けられる。えっ、この硬くておっきぃの、なに…え、ナニ…!?っていうか五条さん、なんで上半身裸なの!?下着一枚で寝てるの!?

「悟、私は相方が公然わいせつ罪で逮捕なんて御免なんだけど」

パニックに陥って思考が回らなくなったところで、五条さんと反対側からぐいーっと身体を引っ張り出された。
私と一緒にずるずるとシーツも剥がれていく。

「げ、夏油さん、助けるのが遅いです…!」
「傑、邪魔すんなよ」
「可愛いマネージャーが困ってたら助けるだろう?…っていうか悟、最初から起きてただろ」
「…そうなんですか?!」

気怠げに身体を起こす五条さんを問い質そうとしたところで、夏油さんが後ろから抱きしめるように私の両目を手で覆い隠してきた。
大きな手でがっしり抱えられた上、視界が暗くて動けない。

「夏油さん?!」
「マネージャー、汚いものは見なくていいからねー」
「五条悟のヌードが汚物なら世の中クソまみれだろ」

言葉は汚いけど、五条さんの言うことはたしかにその通りだ。
目隠しをされたままうんうんと頷くと、後ろの夏油さんが大きなため息をついた。

「悟、マネージャーの教育に悪いからもう喋るな。早く着替えてくれないか?」
「着替えるからマネージャーから離れろよ!」
「…喧嘩しないで早く準備してください……」

五条さんがベッドから降りて、ゴソゴソと服を漁る音がする。
緩んだ夏油さんの腕からするりと抜け出し、私は外で待ってますから、とそそくさと部屋を出た。


準備が終わるのを待っている間、五条さんの部屋の前でスマホでメールや今日のスケジュールを確認していると、突然すみません、と声をかけられた。

「祓ったれ本舗のマネージャーさんですよね?」
「はい!何か…あっ、五条の準備ならもう少しで終わりますので、出発は予定通りに…!」

声の主は、今回のロケのADさんだった。最近班に加わった新人さん。
呼びに来てくれたんだと慌ててフォローを入れると、違うんです!と大きな声で言葉を遮られた。

「あ、あの……俺、この業界まだ素人で…よ、良かったらこのロケが終わったら、二人で飯とか、どうかなと思って……」
「二人でご飯、ですか?」
「いや、色々教えてもらいたいっつーか…歳近いスタッフ少ないし、あの二人のマネージャーさんなら色々知ってそうだなと思って…」

ごにょごにょと最後の方は聞き取れなかったけれど、なるほどこの業界のことを勉強したいけど聞きやすい人がいないから、歳の近い私を頼ってきてくれたらしい。
私でよければ、と二つ返事でかえそうとしたとき、バタン!!とものすごい勢いで五条さんの部屋の扉が開いた。
驚いて振り返ると、何故だかガンをつけるような顔で立っている五条さんと、笑っているのに黒いオーラを放っている夏油さん。
ガラわっる。っていうか、準備終わるのはっや。

「五条さん、ジャケットの襟が入っちゃってますよ」
「ん、直せ」
「仕方ないですね…」

ぐっと屈んで顔を近付けられると、顔の良さと圧で引き受けちゃうのをやめたい。
そして五条さんも、当然のように施しを受けるのをやめてほしい。
屈んでくれても大きいから、少し背伸びをして襟元を正し始めた私を満足げに見た五条さんは、後ろにいるADさんににっっこり営業スマイルを向けた。ま、眩しい…ッ!

「…で?うちのマネージャーと、なにって?」
「あっ…い、いえ、なんでも…」

あれ、ご飯に行くんじゃなかったかな。
首を傾げて襟を直し終えた途端に、五条さんが両手で私の両手首をがっしりと掴んできて、振り返ることが許されない。
…え、なにか怒ってる?
困惑して夏油さんを見上げるも、シー、と人差し指を立てて楽しそうにしているだけで何もしてくれない。

「おかしいな、私の耳には、二人でご飯に、という言葉が聞こえたんだけど?」
「あー…えっと……」

夏油さんは面白そうに首を傾げてるけど、こちらも何故かプレッシャーを感じる。
さっきの会話、聞こえてたんだ。
でも、それとこの拘束になんの関係があるのかわからない。
手首を掴む五条さんの手を外そうと格闘していると、パッと離された反対の手が私の後頭部に周り、ぎゅうっと厚くていい香りがする胸板に顔を押しつけられた。完全に不意をつかれて、はぶ、と情けない声が漏れる。

「コイツ使うんならさ…俺たちを通してからにしてくんない?」

ヒィッと小さい悲鳴が聞こえた…気がした。
いや、そのセリフ、普通私が言うやつじゃないですか?
っていうかなんで五条さんが断るような構図になってるんでしょうか?
やっと五条さんが解放してくれた頃にはADさんの姿は消えていて、代わりに準備を終えた五条さんと夏油さんがにこやかに立っていた。

「え、っと…」
「ほら行こうぜマネージャー、遅刻するぞ」
「誰のせいなんだか」

何事もなかったかのようにスタスタと私の前をエレベーターに向かって歩き始める。

「さ、さっきの態度、良くなかったんじゃないでしょうか…!」
「いーんだよこんくらいで」
「寧ろ優しい方…あ、ほら、エレベーター来たよ」

慌てて二人を追いかけると、ちょうどきたエレベーターを挟んで二人がエスコートするように立っている。
…さながら映画のワンシーンみたい。
3人でエレベーターに乗り込むと、後ろに立つ二人が大きく伸びをする。…でかい。

「さー今日も働きますかー」
「可愛いマネージャーのために、ね」
「ファンの皆さんのために、ですよ!」

慌てて訂正するわたしを見て、二人はニヒルな笑みを浮かべてぽん、ぽん、と順番に頭を撫でてきた。
からかわれてるなぁ…。気を取り直して、気怠げな二人を見上げる。

「では、今日も頑張りましょう!」
「とーぜん」
「まかせてよ」

ちょうどエレベーターの扉が開き、仕事モードに切り替わった二人が颯爽と降りれば周囲のスタッフたちが出迎える。
…今日も、私の担当は最強にかっこいい。
この二人に見合う最強のマネージャー目指して、今日も一日頑張ろう!
私も負けじと気合を入れて、世界一かっこいい後ろ姿を追いかけた。


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